ヨーロッパにおけるプロツアーを締めくくるヴェネト・クラシックは逃げ切りで決着。小集団スプリントでサカリアスコレー・ローランド(ノルウェー、ウノエックス・モビリティ)が先着し、チーム連覇をもたらした。



プロツアー最終戦であるヴェネト・クラシック photo:Giro del Veneto

パンチャーやクライマーが宇都宮ジャパンカップロードレースで躍動した10月19日、ヨーロッパでのプロツアーを締めくくるヴェネト・クラシックが行われた。その名の通り、本大会はイタリア北東部ヴェネト州を舞台にしたワンデーレース。特徴は後半に密集した丘が連続し、とりわけ最後から2つ目のディーゼル・ファーム(距離1.4km/平均8.7%)とその下りは未舗装路となっている点だ。

先日行われたUCIグラベル世界選手権で優勝したフロリアン・フェルミールス(ベルギー、UAEチームエミレーツXRG)らがスタートを切り、30km地点で19名による逃げ集団が形成された。ここにフェルミールスが入り、他には母国イタリア出身のディエゴ・ウリッシ(XDSアスタナ)やロレンツォ・ジェルマーニ(グルパマFDJ)など、豪華なメンバーが揃う。逃げは何度も丘を越えながらも、平均時速50km/hに迫るスピードで巡航し、メイン集団とのリードを1分半まで広げていった。

勝負は序盤から逃げた、19名の先頭集団に絞られた photo:Giro del Veneto

レースが後半に入り、逃げ切りへの危機感を感じ始めたプロトンからはパヴェル・シヴァコフ(フランス、UAEチームエミレーツXRG)が単独でアタック。しかし合流することはできず、勝負は逃げ集団に絞られる。そしてダヴィデ・デプレット(イタリア、ジェイコ・アルウラー)のアタックから、勝利を争う戦いが本格的に始まった。

デプレットにはジェルマーニが反応し、その後は先頭集団の構成が目まぐるしく入れ替わる。単独で先頭に立ったジェルマーニには、残り2km地点でフェルミールスとサカリアスコレー・ローランド(ノルウェー、ウノエックス・モビリティ)がジョイン。そのままラスト1km地点を通過し、フェルミールスがアタックのフェイントを見せて3名のペースが落ち、そこにウリッシが追いつき先頭は4名になった。

連続するコーナーとアップダウンの終盤をローランドが先行し、残り100mから始まる石畳に先頭で突入する。猛追するフェルミールスを振り切り、そのままフィニッシュラインに飛び込んだ。

4名による戦いを制したサカリアスコレー・ローランド(ノルウェー、ウノエックス・モビリティ) photo:Giro del Veneto

プロ初勝利を飾ったサカリアスコレー・ローランド(ノルウェー、ウノエックス・モビリティ) photo:Giro del Veneto

昨年大会を制したマグナス・コルト(デンマーク)に続き、チームに連覇をもたらしたローランドは、「信じられないほど嬉しい。コンチネンタルチームにいたときに、この地域には良い思い出があった。当時と終盤のレイアウトが同じだったので、コースは熟知していた」と勝因を語った。

グラベル世界王者を振り切り、金星を挙げたローランドは下部チームから昨年昇格した24歳。今秋はワールドツアーを含めたワンデーレースを転戦し、プロツアー最終戦で嬉しいプロ初勝利を手に入れた。
ヴェネト・クラシック2025結果
1位 サカリアスコレー・ローランド(ノルウェー、ウノエックス・モビリティ) 4:04:37
2位 フロリアン・フェルミールス(ベルギー、UAEチームエミレーツXRG)
3位 ディエゴ・ウリッシ(イタリア、XDSアスタナ)
4位 ロレンツォ・ジェルマーニ(イタリア、グルパマFDJ) +0:11
5位 ダヴィデ・デプレット(イタリア、ジェイコ・アルウラー) +0:21
text:Sotaro.Arakawa
photo:Veneto Classic