チーム創設の2012年からオリカ・グリーンエッジ(現ジェイコ・アルウラー)の監督を務めてきたマット・ホワイトが、モビスターに電撃加入した。チーム再編を進めるモビスターは組織改革を打ち出し、新たにキアン・アイデブルックス(ベルギー)を獲得するなど巻き返しを図っている。



モビスターに加入したマット・ホワイト (c)CorVos

オーストラリア出身のホワイトは2007年にディスカバリー・チャンネルで現役を引退した50歳。翌年からガーミン・チポトレ(現EFエデュケーション・イージーポスト)で監督を始め、2012年に立ち上がったオーストラリア初のワールドチーム、オリカ・グリーンエッジに加入し、2025年まで14年間在籍した。

監督としてこれまで2016年のパリ〜ルーベ優勝や2018年のブエルタ・ア・エスパーニャ総合優勝など、低予算のチームながら数々の好成績をもたらしてきた。2023年には現場を離れ、ジェイコの男女チームを統括する役職に就任。そしてこの度、長らく在籍したジェイコを離れてモビスターに加入した。

「15年以上にわたりスポーツディレクター(監督)として活動してきたが、いま新しく刺激的な章を始めようと思う。これまでの経験を生かし、チームの成功に貢献できることを楽しみにしている。モビスターはこれまでも敬意を抱いてきた組織であり、その一員として内部から関われることは、私にとって大きなモチベーションとなっている」と、ホワイトはそうコメントした。

モビスターに移籍したキアン・アイデブルックス(ベルギー、ヴィスマ・リースアバイク) photo:CorVos

モビスターはエウセビオ・ウンスエがGMを続投し、その息子であるセバスティアンがスポーツ部門統括責任者として再編を主導。2026年以降に向け、「パフォーマンス」「レース」「ヘルス」「ライダー」の4部門が新設・統合され、それぞれの専門マネージャーが統括する体制となった。レース部門のトップにはチェンテ・ガルシア・アコスタとホワイトの2名が就任、レース戦略の中核となる計画立案や現場指揮を担う。

近年勝利数が伸び悩むモビスターは、ヴィスマ・リースアバイクから22歳のキアン・アイデブルックス(ベルギー)を4年という長期契約で獲得。今季はツール・ド・ラン(UCI2.1)で総合優勝を飾るなど、いまだブレイクには至っていないものの、将来の総合エースを嘱望されるオールラウンダーだ。

text:Sotaro.Arakawa
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