クラッシュ、シューズトラブル、そしてメカトラでもヨリス・ニューウェンハイス(オランダ、リドレーレーシングチーム)は止まらない。メルクスプラスで開催されたテレネット・スーパープレスティージュ第4戦で圧勝。女子はルシンダ・ブラント(オランダ、バロワーズ・グローウィ・ライオンズ)が再び勝利した。



ほぼ全ての週末で2連戦。過密スケジュールを消化中の欧州シクロクロスカレンダーの中、11月15日に開催されたのがスーパープレスティージュ第4戦だ。舞台となった「メルクスプラス」のコースは芝生と森林区間、人口砂区間を組み合わせたもので、路面の大半は湿り気を帯びながらも硬い土、一部柔らかい泥というスピード&パワーコースに仕上がった。

女子エリート:ブラント圧勝で今季6勝目を達成

スタートダッシュを決めたレオニー・ベントフェルド(オランダ、パウェルスサウゼン・アルテスインダストリーバウ) photo:CorVos

女子レースを席巻したのは、まさにパワーコースで抜きん出た強さを誇るルシンダ・ブラント(オランダ、バロワーズ・グローウィ・ライオンズ)。ここまで7戦5勝と圧倒的な勝率を誇るベテランが、この日もディーゼルエンジンに例えられるトルクフルな走りを見せつけた。

ブラントはスタートこそ沈んだものの、2周目にペースアップした新欧州女王のインゲ・ファンデルヘイデン(オランダ、クレラン・コレンドン)とアニック・ファンアルフェン(オランダ、セブンレーシング)に飛びつき、砂区間をスムーズにこなしたことをきっかけにアタック開始。「スピードを維持できたのでチャンスだと思った」と言うブラントはすぐにリードを構築。必死に追いかける追走との差は伸び縮みを繰り返したものの、ファンデルヘイデンがスリップダウンしたことで勝負あり。今季の勝率を8戦6勝、実に75%に乗せることに成功した。

後続を引き離してフィニッシュするルシンダ・ブラント(オランダ、バロワーズ・グローウィ・ライオンズ) photo:CorVos

テレネット・スーパープレスティージュ2025-2026第4戦 女子エリート表彰台 photo:CorVos

「砂区間で無理しない作戦が功を奏したと思う。自分の得意分野を活かす走りに務めた」と振り返るブラントは、第1戦を欠場したにも関わらずポイントランキングでも首位まで6ポイント差の4位に浮上。2年連続自身4回目のシリーズ総合優勝に向けても視界良好だ。



男子エリート:トラブルを乗り越えたニューウェンハイスが独走勝利

かつて父が9回獲得したベルギーチャンピオンジャージの初披露となったティボー・ネイス(ベルギー、バロワーズ・グローウィ・ライオンズ) photo:CorVos

岡山優太(オランダベース/ウォータスレイ)が連戦出場する男子エリートレースには、欧州選手権でトーン・アールツ(ベルギー、デスハフト・ヘンスCXチーム)に敗れ、白地に青のチャンピオンジャージからベルギーチャンピオンジャージに着替えたティボー・ネイス(ベルギー、バロワーズ・グローウィ・ライオンズ)が参戦。序盤からレースを引っ張ったものの、この日は2周目にスリップダウンとチェーン落ちで順位を落としたヨリス・ニューウェンハイス(オランダ、リドレーレーシングチーム)が強烈なペースで立て直しを図った。

「他の選手に絡まってチェーンが外れてしまった。先週の火曜日も同じで"またか"と思ったよ。さらにシューズも締め付けられない状態になってしまった。でも調子はすごく良かったのでそのまま攻め続けたんだ」と振り返るニューウェンハイスはレース中盤に先頭復帰。断続的なペースアップでライバル勢を混乱させ、ミスを誘い、パワーがモノをいう砂区間で突き放す。7秒リードで迎えたラスト2周の砂区間では後続勢が失敗したことで決定的な差がついた。

序盤戦を引っ張ったティボー・ネイス(ベルギー、バロワーズ・グローウィ・ライオンズ)だが、最終的に7位 photo:CorVos
新欧州王者のトーン・アールツ(ベルギー、デスハフト・ヘンスCXチーム)はこの日勝負に絡めず photo:CorVos


トラブルを跳ね除けたヨリス・ニューウェンハイス(オランダ、リドレーレーシングチーム)が勝利 photo:CorVos

2位争いに切り替えたライバルを尻目にニューウェンハイスがフィニッシュラインに滑り込む。「走っている時は本当に良い感触だったよ。他の選手がミスを犯しているのに気づいて、僕は簡単にそれをかわすことができた。彼らにプレッシャーをかけ、砂地でもうまく走ることができ、差を広げることができたんだ」と振り返る通りの強い走りで、X2Oトロフェーに続く3大シリーズ2勝目をマーク。ランキング首位を走るニルス・ファンデプッテ(ベルギー、アルペシン・ドゥクーニンク)はライバル勢を突き放して2位フィニッシュしている。

また、岡山はスピードコースで完走ならず。35位でレースを終えている。
テレネット・スーパープレスティージュ2025-2026第4戦 女子エリート結果
1位 ルシンダ・ブラント(オランダ、バロワーズ・グローウィ・ライオンズ) 45:20
2位 アニック・ファンアルフェン(オランダ、セブンレーシング) +0:10
3位 インゲ・ファンデルヘイデン(オランダ、クレラン・コレンドン) +0:13
4位 レオニー・ベントフェルド(オランダ、パウェルスサウゼン・アルテスインダストリーバウ) +0:14
5位 アマンディーヌ・フークネ(フランス、アルケアB&Bホテルズ) +1:38
6位 マノン・バッカー(オランダ、クレラン・コレンドン) +1:47
7位 ジュリー・ブラウワーズ(ベルギー、シャルル・リエジョワ・ロースタリー) +2:04
8位 エレーヌ・クラウツェル(フランス) +2:14
9位 デニセ・ベッツェマ(オランダ、デクースター・バウプント) +2:20
10位 ジンセ・ピーテルス(ベルギー、デクースター・バウプント) +2:44
テレネット・スーパープレスティージュ2025-2026 第4戦 男子エリート結果
1位 ヨリス・ニューウェンハイス(オランダ、リドレーレーシングチーム) 1:00:26
2位 ニルス・ファンデプッテ(ベルギー、アルペシン・ドゥクーニンク) +0:06
3位 エミエル・フェルストリンゲ(ベルギー、クレラン・コレンドン) +0:07
4位 イェンテ・マイケルズ(ベルギー、アルペシン・ドゥクーニンク) +0:08
5位 キャメロン・メイソン(イギリス、セブンレーシング) +0:27
6位 ラース・ファンデルハール(オランダ、バロワーズ・グローウィ・ライオンズ) +0:35
7位 ティボー・ネイス(ベルギー、バロワーズ・グローウィ・ライオンズ) +0:37
8位 マイケル・ファントーレンハウト(ベルギー、パウェルスサウゼン・アルテスインダストリーバウ) +0:38
9位 フェリペ・オルツ(スペイン、リドレーレーシングチーム) +0:40
10位 トーン・ファンデボシュ(ベルギー、クレラン・コレンドン) +0:45
35位 岡山優太(オランダベース/ウォータスレイ) LAP
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