終盤に1級山岳を登るツール・ド・スイス第4ステージで、ジョアン・アルメイダ(ポルトガル、UAEチームエミレーツXRG)がアタック。49kmの独走を決め、勝利と共に初日に失った総合タイムを取り戻した。

総合リーダージャージを纏うロマン・グレゴワール(フランス、グルパマFDJ) photo:Tour de Suisse

ツールに向かうアルノー・ドゥリー(ベルギー、ロット) photo:CorVos ツール・ド・フランスで総合優勝を争うトップ3(ポガチャル、ヴィンゲゴー、エヴェネプール)は出場していないものの、重要な前哨戦に位置づけられるツール・ド・スイス(UCIワールドツアー)は4日目を迎えた。193.2kmコースで争われるこの日は、後半に3級山岳を越え、続けざまに1級山岳シュプリューゲンパス・スプルガ峠(登坂距離8.8km/平均勾配7.3%)を登坂。フィニッシュ地点は約33kmのダウンヒルを経て、13kmの平坦路を進んだ先にある。
現役最後のツールに臨むゲラント・トーマス(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)が、前日の落車で未出走となったこの日、序盤から逃げを目指した熾烈なアタック合戦が勃発。そのため最初の1時間は平均スピード50km/hを超え、ニールソン・パウレス(EFエデュケーション・イージーポスト)や前日勝者クイン・シモンズ(リドル・トレック)などアメリカ人4名を含む8名逃げが成立。メイン集団は総合リーダージャージを有するグルパマFDJが牽引してその責務を果たした。

ツール・ド・スイス2025第4ステージ image:Tour de Suisse

8名の逃げ集団は3級山岳で4名に絞られた photo:Tour de Suisse
約110kmに及ぶ平坦路を経て、終盤の山岳区間へ。まず3級山岳に入ると、逃げ集団はシモンズとパウレス、同じアメリカ出身のアンドリュー・オーガスト(イネオス・グレナディアーズ)、そしてトーマス・グローグ(イギリス、ヴィスマ・リースアバイク)の4名に絞られる。グローグは3級山岳、直後に設定された2つの中間スプリントを全て先頭で通過。しかしその頃にはオーガストが脱落し、UAEチームエミレーツXRGがハイペースで牽引するプロトンに22秒差まで迫られていた。
そして1級山岳シュプリューゲンパス・スプルガ峠(登坂距離8.8km/平均勾配7.3%)に入り、逃げ集団は吸収される。UAEの作るハイペースに総合リーダーのロマン・グレゴワール(フランス、グルパマFDJ)が遅れるなか、パウレスがカウンターアタック。しかしこれは決まらず、人数の絞られた集団から頂上まで1.8km地点、フィニッシュまで残り49km地点でジョアン・アルメイダ(ポルトガル、UAEチームエミレーツXRG)が満を持して飛び出した。

1級山岳に入り、ハイペースで牽引するUAEチームエミレーツXRG photo:CorVos

残り49km地点で飛び出し、単独先頭に立ったジョアン・アルメイダ(ポルトガル、UAEチームエミレーツXRG) photo:CorVos
大会初日に逃げ切りを許し、3分12秒もの総合タイムを失っていたアルメイダ。その遅れを取り戻すべく仕掛けたアタックでライバルを突き放し、頂上を44秒のリードで通過する。後続ではベン・オコーナー(オーストラリア、ジェイコ・アルウラー)やオスカー・オンリー(イギリス、ピクニック・ポストNL)、そして一度は遅れながらも懸命に食らいついたグレゴワールなど8名が追走集団を形成し、ローテーションを回しながら追いかけた。
しかし、世界でもトップクラスのタイムトライアル能力を持つアルメイダは、その後の長い下りと平坦路でもリードを守り抜き、独走でフィニッシュに到着。今年ツール・ド・フランスでポガチャルのアシストを務め、続くブエルタ・ア・エスパーニャに総合エースとして挑む予定のアルメイダが、総合優勝を含め今季5勝目を手に入れた。

圧巻勝利を飾ったジョアン・アルメイダ(ポルトガル、UAEチームエミレーツXRG) photo:CorVos
「全力を尽くし、チームワークを結果に繋げることがでいた。取り戻さなければならないタイムは大きいものの、先はまだ長い。でもいまはこのステージ優勝の喜びを味わいたい」と、圧巻勝利を飾ったアルメイダは喜びを語った。
追走集団を飛び出したオンリーが40秒遅れの2位に入り、3位は42秒遅れのオコーナー。グレゴワールは1分遅れの5位でフィニッシュし、総合首位キープに成功。アルメイダは総合7位まで浮上し、首位との差を2分7秒まで縮めている。


現役最後のツールに臨むゲラント・トーマス(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)が、前日の落車で未出走となったこの日、序盤から逃げを目指した熾烈なアタック合戦が勃発。そのため最初の1時間は平均スピード50km/hを超え、ニールソン・パウレス(EFエデュケーション・イージーポスト)や前日勝者クイン・シモンズ(リドル・トレック)などアメリカ人4名を含む8名逃げが成立。メイン集団は総合リーダージャージを有するグルパマFDJが牽引してその責務を果たした。


約110kmに及ぶ平坦路を経て、終盤の山岳区間へ。まず3級山岳に入ると、逃げ集団はシモンズとパウレス、同じアメリカ出身のアンドリュー・オーガスト(イネオス・グレナディアーズ)、そしてトーマス・グローグ(イギリス、ヴィスマ・リースアバイク)の4名に絞られる。グローグは3級山岳、直後に設定された2つの中間スプリントを全て先頭で通過。しかしその頃にはオーガストが脱落し、UAEチームエミレーツXRGがハイペースで牽引するプロトンに22秒差まで迫られていた。
そして1級山岳シュプリューゲンパス・スプルガ峠(登坂距離8.8km/平均勾配7.3%)に入り、逃げ集団は吸収される。UAEの作るハイペースに総合リーダーのロマン・グレゴワール(フランス、グルパマFDJ)が遅れるなか、パウレスがカウンターアタック。しかしこれは決まらず、人数の絞られた集団から頂上まで1.8km地点、フィニッシュまで残り49km地点でジョアン・アルメイダ(ポルトガル、UAEチームエミレーツXRG)が満を持して飛び出した。


大会初日に逃げ切りを許し、3分12秒もの総合タイムを失っていたアルメイダ。その遅れを取り戻すべく仕掛けたアタックでライバルを突き放し、頂上を44秒のリードで通過する。後続ではベン・オコーナー(オーストラリア、ジェイコ・アルウラー)やオスカー・オンリー(イギリス、ピクニック・ポストNL)、そして一度は遅れながらも懸命に食らいついたグレゴワールなど8名が追走集団を形成し、ローテーションを回しながら追いかけた。
しかし、世界でもトップクラスのタイムトライアル能力を持つアルメイダは、その後の長い下りと平坦路でもリードを守り抜き、独走でフィニッシュに到着。今年ツール・ド・フランスでポガチャルのアシストを務め、続くブエルタ・ア・エスパーニャに総合エースとして挑む予定のアルメイダが、総合優勝を含め今季5勝目を手に入れた。

「全力を尽くし、チームワークを結果に繋げることがでいた。取り戻さなければならないタイムは大きいものの、先はまだ長い。でもいまはこのステージ優勝の喜びを味わいたい」と、圧巻勝利を飾ったアルメイダは喜びを語った。
追走集団を飛び出したオンリーが40秒遅れの2位に入り、3位は42秒遅れのオコーナー。グレゴワールは1分遅れの5位でフィニッシュし、総合首位キープに成功。アルメイダは総合7位まで浮上し、首位との差を2分7秒まで縮めている。
ツール・ド・スイス2025第4ステージ結果
1位 | ジョアン・アルメイダ(ポルトガル、UAEチームエミレーツXRG) | 4:10:19 |
2位 | オスカー・オンリー(イギリス、ピクニック・ポストNL) | +0:40 |
3位 | ベン・オコーナー(オーストラリア、ジェイコ・アルウラー) | +0:42 |
4位 | ケヴィン・ヴォークラン(フランス、アルケア・B&Bホテルズ) | +1:00 |
5位 | ロマン・グレゴワール(フランス、グルパマFDJ) | |
6位 | フェリックス・ガル(オーストリア、デカトロンAG2Rラモンディアール) | |
7位 | イラン・ファンウィルデル(ベルギー、スーダル・クイックステップ) | +1:02 |
8位 | クレモン・シャンプッサン(フランス、XDSアスタナ) | |
9位 | ジュリアン・アラフィリップ(フランス、チューダー・プロサイクリング) | |
10位 | レナード・ケムナ(ドイツ、リドル・トレック) |
個人総合成績
1位 | ロマン・グレゴワール(フランス、グルパマFDJ) | 15:37:20 |
2位 | ケヴィン・ヴォークラン(フランス、アルケア・B&Bホテルズ) | +0:25 |
3位 | ジュリアン・アラフィリップ(フランス、チューダー・プロサイクリング) | +0:29 |
4位 | ベン・オコーナー(オーストラリア、ジェイコ・アルウラー) | +0:56 |
5位 | レナード・ケムナ(ドイツ、リドル・トレック) | +1:20 |
6位 | パブロ・カストリーリョ(スペイン、モビスター) | |
7位 | ジョアン・アルメイダ(ポルトガル、UAEチームエミレーツXRG) | +2:07 |
8位 | オスカー・オンリー(イギリス、ピクニック・ポストNL) | +2:53 |
9位 | フェリックス・ガル(オーストリア、デカトロンAG2Rラモンディアール) | +3:23 |
10位 | クレモン・シャンプッサン(フランス、XDSアスタナ) | +3:25 |
その他の特別賞
ポイント賞 | ジョアン・アルメイダ(ポルトガル、UAEチームエミレーツXRG) |
山岳賞 | フェリックス・エンゲルハート(ドイツ、ジェイコ・アルウラー) |
ヤングライダー賞 | ロマン・グレゴワール(フランス、グルパマFDJ) |
チーム総合成績 | イスラエル・プレミアテック |
text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos, Tour de Suisse
photo:CorVos, Tour de Suisse
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