「5勝すべてにそれぞれ異なる物語がある」と、5度目のツール・ド・フランス総合優勝を振り返ったタデイ・ポガチャル。最終盤で共に先頭を走ったマチュー・ファンデルプールへの敬意を示し、今大会を振り返ると共に、デルトロや次世代の台頭について語った。



多くの報道陣が詰めかけたデルトロとポガチャルの記者会見 photo:Sotaro.Arakawa

─ラスト2kmはファンデルプールをリードアウトしているように見えた。

マチューと何か言葉を交わしたわけではなく、ただ一緒にフィニッシュを目指していただけ。最後は僕も力を使い果たしていた。勝つには最後まで全力で踏み続けるしかないと、僕も彼も分かっていた。そして彼は美しい勝利を手にした。

─ツール総合5勝を挙げた選手の仲間入りを果たした。キャリアにおいて、それはどれほど価値のあることか。

いまはこの総合優勝を喜びたい。初めてでも5度目でも、その気持ちは変わらない。マイヨジョーヌを着てパリのフィニッシュラインを通過することは、いつだって素晴らしいことだ。だからいまは歴史やクラブといったことは考えたくない。いまはこの瞬間を楽しみ、家に帰ったら日常のささやかなことを楽しむ生活に戻りたい。5度の総合優勝は本当に嬉しく、光栄なことだ。だが、5勝すべてにそれぞれ異なる物語と意味があり、感じるものも違う。

5度目の総合優勝を果たしたタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツXRG) photo:Sotaro.Arakawa

─このツール・ド・フランスを終えた後の予定は。

飛行機で家に帰り、たまっている宿題を片づける。そして金曜日には故郷の街でクリテリウムがある。そこにはツールに出場した大物ゲストも登場する予定だ。日曜日には、アマチュアや子どもたちが参加する「ポギチャレンジ」も予定されている。その後はウルシュカ(ジガート)が出場するツール・ド・フランス・ファムを観戦したいね。

─ブエルタ・ア・エスパーニャに出場する意欲はあるか。

もしブエルタが明日始まるのであれば、答えは「いいえ」だ。でも開幕は2週間後なので、まだ考える余地がある。

─この後、どんなパーティーが待っているのか。

もう午後9時45分だ。本当はもう眠りたいのだが、チームが素敵なディナーを用意してくれている。そこでみんなと楽しい時間を過ごしたい。

一つの質問に丁寧に答えていくタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツXRG) photo:Sotaro.Arakawa

─今大会ではブーイングを浴びたり、異例の時間帯にドーピング検査を受けたりした。そうしたことには、圧倒的な勝ち方が影響していると思うか。

そうは思わない。もちろん、ヨナス(ヴィンゲゴー)が午前2時、僕が午前5時に受けた検査は少し奇妙に感じた。だが、初出場した2020年から、クイーンステージ前夜などに何度もドーピング検査を受けてきた。7回の出場のうち5回くらいかな。時にはスタート30分前に検査を受けたこともある。だけど、彼らは自分たちの仕事をしているだけだと思うよ。

─昨年は3週目に膝を負傷していたことを、後になって明かした。今大会に調子の悪い日はあったか。

アダム(イェーツ)は胃腸系のトラブルを抱え、ブランドン(マクナルティ)は体調不良でレースを去り、ティム(ウェレンス)も体調を崩していた。だけど、僕自身には何の問題もなかったよ。僕らは3週間にわたり、大人数のプロトンで走っている。周囲では鼻をかんだり、つばを吐いたりしているため、感染症はあっという間に広がる。それでも何とか無事に乗り切ることができた。

─5勝目をつかんだことで、燃え尽き症候群に陥る心配はないか。

もちろん、その心配はある。そうなるのは、自分を追い込みすぎることが原因だ。だからこそ、ツール・ド・フランスが終わった直後に、ブエルタに出場するとか、他のレースを目指すとか、そういうことは言いたくないんだ。地に足をつけていたい。

デルトロをパンクさせたことにされたポガチャル photo:Sotaro.Arakawa

─セクサスら、若い世代のライバルが台頭していることをどう思うか。

イサーク(デルトロ)とはバチバチのライバル関係だよ。僕らはカメラの前だから仲の良いふりをしているだけだ(笑)。

デルトロ:今日のパンクは彼の仕業だ。

ライバルなんだから当然だろう?(笑)。冗談はここまでとして、次世代の台頭は楽しみだし、イサークが隣にいてくれることを心強く思う。僕は彼のメンターになれると思うが、彼はすでに十分に賢い。若くて強い選手たちの台頭は、ロードレース界にとって喜ばしいことだ。

text:Sotaro.Arakawa
photo:A.S.O. CorVos

最新ニュース(全ジャンル)