8月30日と31日に三重県の鈴鹿サーキットを舞台に国内最大のロードレースイベント「シマノ鈴鹿ロード」が開催された。2日間でのべ7,800名のサイクリストが全国から集結し、5ステージ・スズカや2時間エンデュランスなど多くの種目を駆け抜けた。夏の鈴鹿を満喫した2日間をレポートしよう。



8月30日と31日に三重県の鈴鹿サーキットで開催された「シマノ鈴鹿ロード」 photo:Michinari TAKAGI

猛暑日が続く8月30日(土)と31日(日)に三重県で開催された国内最大のロードレースイベント「シマノ鈴鹿ロード」。今年で40回目の節目を迎えたメモリアル大会となった。

舞台はF1やSUPER GTなど四輪の格式高いレースが開催され、モータースポーツファンから愛される日本を代表するコース、鈴鹿サーキットだ。シマノ鈴鹿ロードはそんな鈴鹿サーキットを舞台とした自転車レースとして、全国からサイクリストが集まる大人気イベントである。

取材にあたり、開催日の鈴鹿サーキットの天気予報を調べると、晴れのち曇り予報。今年の夏は特に日差しが強く感じる。そして、サーキット特有の路面からの照り返しもあるため、帽子やサングラス、日焼け止めクリームなど、日焼け対策も万全の準備で鈴鹿へ向かう。

40周年を迎えるシマノ鈴鹿ロードの開会式で挨拶をするシマノの取締役社長の島野泰三氏 photo:Michinari TAKAGI

イベント当日は青空が広がる絶好の自転車日和で、土曜日は最低気温 24℃、最高気温 36℃。日曜日は最低気温 25℃、最高気温 35℃と立っているだけでも汗が滴る猛暑日となった。そして、これまでシマノ鈴鹿ロードは3年連続で取材を担当しているが、全て晴れ。またしても晴れ男の力を発揮してしまったのであった。

今年で40回目の節目を迎えるシマノ鈴鹿ロードの開会式には主催者であるシマノの取締役社長の島野泰三氏が登壇。世界最大の自転車部品メーカーとして主催イベントに懸ける想いを込め、参加者へエールを送った。

昨年から導入された公式アプリ photo:Michinari TAKAGI
スマートフォンのアプリ内でスケジュールなどをチェックできる photo:Michinari TAKAGI


シマノバイカーズやシマノ鈴鹿ロードで昨年から導入された公式アプリがより使いやすくなりアップデートされた。大会プログラム冊子や参加証が廃止され、スマートフォンのアプリ内ですべてが完結する。

大会プログラムをいつでもどこでも確認できるほか、自分が出場する種目をリマインドするスケジューリング機能も搭載されている。以前は時間がかかっていた受付もスマホを見せるだけでゼッケンとチップを受け取れるため、よりスムーズになっている。

勢いよく駆け出す小学生カテゴリー photo:Michinari TAKAGI
タンデムバイクでも参加できる種目を用意 photo:Michinari TAKAGI


スターターを務めるお子さんの合図でスタート photo:Michinari TAKAGI
初級者から上級者まで脚力に合わせたカテゴリーが展開される photo:Michinari TAKAGI


シマノ鈴鹿ロードの魅力はロードバイクやクロスバイク、TTバイクはもちろんのこと、ハンドサイクルやタンデムバイクなどでも参加できる種目が用意され、より多くのサイクリストが自転車を楽しめること。

更に初級者から上級者まで脚力に合わせたカテゴリー、そして未就学児や小学生、中学生、エリート、マスターズなど年代別のカテゴリーも用意され、老若男女を問わずに参加できるのがシマノ鈴鹿ロードの人気のポイントだ。

最も参加者が多い「2時間エンデュランス」がスタート photo:Michinari TAKAGI

多くの種目が用意されているシマノ鈴鹿ロードの中で、最も参加者が多いのが「2時間エンデュランス」だ。2~4人のチームで構成され、高校や大学、会社の仲間とお揃いのチームジャージで参加していた。ピットエリアでは、ホームストレートを駆け抜ける仲間に声援を送っていた。

選手交代ではピットインして、計測チップを付け替えて、スムーズにピットアウトしていく。鈴鹿サーキットというロケーションもあり、まるでF1のピット作業を見ているようだった。

ピットエリアでチームメイトを待つ photo:Michinari TAKAGI
スムーズな計測チップの付け替え作業 photo:Michinari TAKAGI


「楽しいです!」と笑顔でガッツポーズを決めてくれました photo:Michinari TAKAGI
ピットエリアから声援を送る photo:Michinari TAKAGI


ヘアピンを高速で駆け降りていく photo:Michinari TAKAGI
2時間エンデュランスは大集団で走れるため、力をセーブしながら走ることができる photo:Michinari TAKAGI


初心者や中級者が参戦しやすい2周と3周、5周の部も実施され、ロードレースを気軽に体感できる photo:Michinari TAKAGI

個人種目は国内トップクラスのハイレベルなレースが繰り広げられたシマノ鈴鹿ロードレースクラシックを頂点に、初心者や中級者が参戦しやすい2周と3周、5周の部も実施され、ロードレースを気軽に体感できる機会だった。

TTバイクの種目が多いのもシマノ鈴鹿ロードの特徴だ。ロードレースやクリテリウムは日本全国で多く開催されているが、タイムトライアルの大きなイベントは全日本選手権や実業団レースを含めても片手で数えられるほどしか開催されていないのが実情。

チームタイムトライアルのスタートを待つ参加者たち photo:Michinari TAKAGI

日頃の練習の成果を発揮できるチームタイムトライアル photo:Michinari TAKAGI
日本全国から集結したTT好きのサイクリストが鈴鹿サーキットを駆け抜けた photo:Michinari TAKAGI


チームTTのスタートを待つ「真夏の乙女たち」の皆さん photo:Michinari TAKAGI
優勝チームには40周年のチャンピオンジャージとメダルが贈呈された photo:Michinari TAKAGI


個人とチームで総合優勝を決めたNerebaniの皆さん photo:Michinari TAKAGI

シマノ鈴鹿では個人タイムトライアルだけでなく、チームタイムトライアルも開催され、最新のTTバイクが鈴鹿に揃う、年に一度の大イベントとなっている。日本全国から集結したTT好きのサイクリストが鈴鹿サーキットを駆け抜けた。

シマノ鈴鹿ロードの人気種目である「5ステージ・スズカ」はツール・ド・フランスのようなステージレースが体験できるチーム参加型の種目。個人とチームの総合優勝をかけて、個人とチームタイムトライアル、そして3つのロードレース、計5つのステージを2日間で走る。4人から6人までのチームの中でエースやアシストの役割を決めて、チームスポーツとしてロードレースを楽しめる。

「体験! 鈴鹿サーキット」にSKE48の荒野姫楓さんが参加 photo:Michinari TAKAGI

今中大介さんやシマノレーシング、参加者とレースを体験する荒野姫楓さん photo:Michinari TAKAGI

ロードバイク好きの"ひめたん"ことSKE48の荒野姫楓さんがシマノ鈴鹿ロードに参加したのも、今回の大きなトピック。昨年までの「体験レース」がアップデートされた「体験! 鈴鹿サーキット」にひめたんが参加した。

今中大介さんやシマノレーシング、チーム右京の選手たち、参加者の皆さんと共に鈴鹿サーキットを走ったひめたん。SKE48のファンの皆さんにとっては推しと一緒に走れる貴重な体験になったはずだ。

2時間エンデュランスのフィニッシュ地点でチェッカーフラッグを振るSKE48の荒野姫楓さん photo:Michinari TAKAGI

今中さんによる鈴鹿サーキット安全走行ガイド photo:Michinari TAKAGI

体験レース参加以外にもトークイベントにも参加し、2時間エンデュランスのフィニッシュ地点でSKE48の衣装を着て、チェッカーフラッグを振るなど、大活躍のひめたんであった。

2時間エンデュランスやロードレース以外にも、スズカビレッジでは「知る・観る・学ぶ・体験する・味わう」をテーマに様々なコンテンツが用意された。今中さんによる鈴鹿サーキット安全走行ガイドや、安全走行やレースにおける集団走行の基礎などを学べるウィーラースクールが行われた。

ウィーラースクールではシマノレーシングの野寺監督や橋本英也(キナンレーシングチーム)らが講師を務めた photo:Michinari TAKAGI

シマノ鈴鹿ロードでは様々な熱中症対策が施された。今年は夏の鈴鹿サーキットに雪を降らせる「SNOW SHOWER」が目玉。さらにセンターハウス2Fが無料の休憩所として無料開放され、多くの方が休息をとっていた。

2時間エンデュランスなどでは西コースのピットエリアに給水場とシャワーゾーンが用意された。今年は特に多くの参加者が立ち寄って水分補給や身体のクールダウンをしていた様子だった。

夏の鈴鹿サーキットに雪を降らせる「SNOW SHOWER」 photo:Michinari TAKAGI

2時間エンデュランスなどでは西コースのピットエリアに給水場を用意 photo:Michinari TAKAGI
シャワーゾーンでレース後の火照った身体を冷やす参加者の皆さん photo:Michinari TAKAGI


スズカビレッジはシマノブースを筆頭に国内外の多くのメーカーがたくさんの試乗車や新製品を展示。例年より多くのサイクリストが多くの方が足を運んでいた。各ブースの様子は写真で紹介していこう。

シマノブースではQ'AUTO搭載バイクが注目されていた photo:Michinari TAKAGI
KPLUSから新作ヘルメット「AERVANA」が登場 photo:Michinari TAKAGI


ジャイアントのカラーオーダーシステム「CUSTOM PAINT PROGRAM」が一押し photo:Michinari TAKAGI
オルベアはOrcaやホイールの試乗会を実施 photo:Michinari TAKAGI


多くのブランドを取り扱うフカヤはグッドイヤー EAGLEが一押し photo:Michinari TAKAGI
ポディウムは今年モデルチェンジしたタイム SCYLON GEN2を展示 photo:Michinari TAKAGI


フタバはBMC Teammachine Rを展示 photo:Michinari TAKAGI
リドレーの試乗会で一番人気は新型エアロロード「Noah 3.0」 photo:Michinari TAKAGI


スペシャライズドはTARMAC SL8とロヴァール RAPIDE CLX Ⅲ & SPRINTの試乗会を実施 photo:Michinari TAKAGI
カブトはソリューションテック・ヴィーニファンティーニカラーのFLEX-AIRとAERO R2がおすすめ photo:Michinari TAKAGI


ヴィットリアではクリンチャータイプのCORSA PROが人気 photo:Michinari TAKAGI
サーヴェロの新型S5とマックオフがおすすめのダイアテック photo:Michinari TAKAGI


40周年という節目を迎えるシマノ鈴鹿ロードがこれまでの参加者への感謝を込めて、特別なドローンショーを1日目の夜に開催した。最新技術を駆使したドローンが夜空を飛び、サイクリストや大会ロゴ、最後には「Thank you 40th」というメッセージで締めくくられた。

40周年を記念してドローンショーが1日目の夜に開催された photo:Michinari TAKAGI

ロードバイクに乗るサイクリストが浮かび上がり、ペダリングする演出も photo:Michinari TAKAGI
「Thank you 40th」というメッセージを残し、ドローンショーは終了した photo:Michinari TAKAGI


シマノ鈴鹿ロードの最終種目が終わり、大会を作り上げた主催者であるシマノのみなさんたちと毎年恒例となっている記念撮影。ゲストであるSKE48の荒野姫楓さんを中心に、達成感に満ちた大会実行委員の皆さんの笑顔が広がっていた。

多くの大会関係者や参加者によって作り上げられているシマノ鈴鹿ロード。40周年の節目を越えて、来年はどのようにアップデートして開催されるか、今から楽しみだ。また来年も鈴鹿サーキットで会いましょう!

カメラ越しにはゲストであるSKE48の荒野姫楓さんを中心に今年も達成感に満ちた大会実行委員の皆さんの笑顔が広がっていた photo:Michinari TAKAGI


photo & text:Michinari TAKAGI