9月15日、Jプロツアー第10戦「経済産業大臣旗ロードチャンピオンシップ」が、全日本選手権開催が決まった新潟県南魚沼市で開催された。レースは中盤から先行した集団が最終周回に吸収され、残り5km過ぎから飛び出した林原聖真(群馬グリフィンレーシングチーム)とルーベン・アコスタ(宇都宮ブリッツェン)の勝負となり、林原が優勝。U23の若手選手が大金星を挙げた。

前年の団体優勝マトリックスパワータグのホセ・ビセンテ・トリビオからJBCF加地理事長に優勝旗が返還される photo:Satoru Kato
Jプロツアー最高位のレースレイティング「プラチナ」に指定される経済産業大臣旗ロードチャンピオンシップは、今年も南魚沼での開催となった。
ポイント配分は通常のJプロツアー大会(レースレイティング:ブロンズ)に比べ3倍近い高得点となるだけでなく、唯一の団体戦が争われる大会でもある。3名の完走順位を元にチームの順位がつけられ、優勝チームには真紅の経済産業大臣旗、通称「輪翔旗」が与えられる。レースの優勝もさることながら、輪翔旗獲得を目指した各チームの動きも見ものだ。

2種のリーダージャージを先頭にスタート photo:Satoru Kato

三国川ダムのしゃくなげ湖に沿って走るコース photo:Satoru Kato
コースは、新潟県南魚沼市の東部に位置する三国川ダムのダム湖「しゃくなげ湖」の周りをぐるっと1周する12km。スタート直後、勾配標識8%の標識が立つ登りを経て、細かなアップダウンとカーブが連続する湖畔の道路に出る。奥に進むほど道幅が狭くなり、コース後半は車がやっとすれ違える程度まで狭まっていく。残り3km付近から高低差約140mを一気に下るダウンヒルは、テクニックの差が現れる区間だ。
なお、JCF(一般財団法人 日本自転車競技連盟)から発表があった通り、2026年の全日本選手権ロードレースはこのコースを使用して開催される。
朝から降り続いていた雨はJプロツアーのレース前に一度はやんだものの、スタート後も時々小雨が落ちてくる天気。しかしレースの進行と共に青空も見え始め、気温は30度未満ではあったものの湿度の高い中でのチャンピオンシップ大会となった。

序盤は各チームが出方を伺うような展開 photo:Satoru Kato

4周目に形成された7名の先頭集団 photo:Satoru Kato
12周144kmのレースは、序盤に河野翔輝(チームブリヂストンサイクリング)の単独先行が吸収されたところから本格的に動き始める。
4周目、7名の集団が先行する。メンバーは、山田拓海(シマノレーシング)、織田聖、アレクサンドロス・アグロティス(以上マトリックスパワータグ)、孫崎大樹(ヴィクトワール広島)、谷順成(宇都宮ブリッツェン)、宮崎泰史(キナンレーシングチーム)、島野翔太(イナーメ信濃山形)。

レース中盤以降はチームブリヂストンサイクリングが集団を牽引してタイム差を縮めていく photo:Satoru Kato

レース終盤までに2名が遅れて5名となった先頭集団 photo:Satoru Kato
後続のメイン集団はチームブリヂストンサイクリングがコントロールを開始。レース中盤に3分を超えるまで差が開いたが、その後周回が進むごとに差を縮めていく。先行する集団では、8周目に島野、9周目に山田が相次いで遅れて5名となる。

追走する集団を林原聖真(群馬グリフィンレーシングチーム)が牽引 photo:Satoru Kato
レース終盤に差し掛かり、チームブリヂストンサイクリングのメイン集団コントロールが無くなると主導するチームは現れず、アタック合戦のようにペースが乱高下する状況になって集団の人数が減っていく。それでも先行する5名との差は2分を切るまでに縮まり、11周目に先頭集団からアグロティスが遅れて4名となると差は一気に縮まっていく。

最終周回に入った直後に飛び出した宮崎泰史(キナンレーシングチーム) photo:Satoru Kato

残り5km過ぎ、林原聖真(群馬グリフィンレーシングチーム)とルーベン・アコスタ(宇都宮ブリッツェン)が先行 photo:Satoru Kato
最終周回に入ると先行を続けていた4名に追走してきた8名が合流。その直後、宮崎が単独先行を開始し、10秒ほどまで差を広げる。しかし残り5kmを前に吸収されると、そのカウンターで林原聖真(群馬グリフィンレーシングチーム)とルーベン・アコスタ(宇都宮ブリッツェン)の2名が抜け出す。

後方のルーベン・アコスタ(宇都宮ブリッツェン)を何度も見る林原聖真(群馬グリフィンレーシングチーム) photo:Satoru Kato

林原聖真(群馬グリフィンレーシングチーム)が大金星を挙げた photo:Satoru Kato
最後の下り区間ではアコスタが林原に対してリードを広げたものの、残り500m過ぎからフィニッシュに続く登り区間で林原が追いつく。そしてフィニッシュ目前でアコスタの前に出た林原は、何度も後方を確認してからガッツポーズを繰り出す。その林原を歓喜のチームスタッフが迎えた。
林原は明治大学在学中の4年生。大学の自転車部にも所属し、Jプロツアーは群馬グリフィンで走る。この優勝でU23選手が対象となるネクストリーダージャージも獲得。金子宗平のプロリーダージャージとあわせ、群馬グリフィンが2種のリーダージャージを独占することになった。

表彰式 photo:Satoru Kato
林原聖真コメント
「今日はチームとしては僕と金子さんで登りをしっかり踏んで厳しい展開にして、逃げが出来たら乗っていく作戦だった。でも最初の7名の逃げには誰も乗れずに後手を踏むことになってしまったが、他チームの力もあって追いつくことができた。
先頭に追いついてからはどうやって抜け出そうかと考えていた。ヴィクトワール広島のベンジャミン・ダイボール選手が何度もアタックしていて、人数を残している宇都宮ブリッツェンがチェックに動いているのを見て、そのカウンターを狙っていたところ、ルーベン選手と抜け出せた。
下りのペースはルーベン選手がとても速かったのでついて行けず、無理をすれば落車しそうだったので安全に下ることを選択した。残り250mあたりで追いついたが、ルーベン選手がどのくらい脚を残しているのか分からなかったので、追いつかなかったらそれまでだし、抜ければラッキーくらいに思っていた。

群馬グリフィンレーシングチームが2種のリーダージャージを獲得 photo:Satoru Kato
Jプロツアーの中でも南魚沼のコースは得意な方なので、勝てたレースにビックタイトルが付いてきたという感じ。先週のインカレロードは、あまり得意ではない群馬CSCのコースだったことと、調子も良くなかったので勝てなかったが、その分を取り返せたと思う。
ネクストリーダージャージはレースに勝てなくてもここで獲りたいと考えていた。金子選手がプロリーダージャージを着てるのを見て、自分もリーダージャージを獲ってチームで独占したいとずっと思っていたので、とても嬉しい。
最終戦はホームレースの群馬CSCになるので、金子選手やチームメイトと共に攻めた走りをしてもう1勝を狙いたい」
団体戦は宇都宮ブリッツェンが13年ぶり優勝

輪翔旗を獲得した宇都宮ブリッツェン photo:Satoru Kato
団体成績は、2位アコスタ、4位武山晃輔、5位谷順成と、5位以内に3名を入れた宇都宮ブリッツェンが優勝。13年ぶりに輪翔旗を宇都宮に持ち帰った。

Jプロツアー最高位のレースレイティング「プラチナ」に指定される経済産業大臣旗ロードチャンピオンシップは、今年も南魚沼での開催となった。
ポイント配分は通常のJプロツアー大会(レースレイティング:ブロンズ)に比べ3倍近い高得点となるだけでなく、唯一の団体戦が争われる大会でもある。3名の完走順位を元にチームの順位がつけられ、優勝チームには真紅の経済産業大臣旗、通称「輪翔旗」が与えられる。レースの優勝もさることながら、輪翔旗獲得を目指した各チームの動きも見ものだ。


コースは、新潟県南魚沼市の東部に位置する三国川ダムのダム湖「しゃくなげ湖」の周りをぐるっと1周する12km。スタート直後、勾配標識8%の標識が立つ登りを経て、細かなアップダウンとカーブが連続する湖畔の道路に出る。奥に進むほど道幅が狭くなり、コース後半は車がやっとすれ違える程度まで狭まっていく。残り3km付近から高低差約140mを一気に下るダウンヒルは、テクニックの差が現れる区間だ。
なお、JCF(一般財団法人 日本自転車競技連盟)から発表があった通り、2026年の全日本選手権ロードレースはこのコースを使用して開催される。
朝から降り続いていた雨はJプロツアーのレース前に一度はやんだものの、スタート後も時々小雨が落ちてくる天気。しかしレースの進行と共に青空も見え始め、気温は30度未満ではあったものの湿度の高い中でのチャンピオンシップ大会となった。


12周144kmのレースは、序盤に河野翔輝(チームブリヂストンサイクリング)の単独先行が吸収されたところから本格的に動き始める。
4周目、7名の集団が先行する。メンバーは、山田拓海(シマノレーシング)、織田聖、アレクサンドロス・アグロティス(以上マトリックスパワータグ)、孫崎大樹(ヴィクトワール広島)、谷順成(宇都宮ブリッツェン)、宮崎泰史(キナンレーシングチーム)、島野翔太(イナーメ信濃山形)。


後続のメイン集団はチームブリヂストンサイクリングがコントロールを開始。レース中盤に3分を超えるまで差が開いたが、その後周回が進むごとに差を縮めていく。先行する集団では、8周目に島野、9周目に山田が相次いで遅れて5名となる。

レース終盤に差し掛かり、チームブリヂストンサイクリングのメイン集団コントロールが無くなると主導するチームは現れず、アタック合戦のようにペースが乱高下する状況になって集団の人数が減っていく。それでも先行する5名との差は2分を切るまでに縮まり、11周目に先頭集団からアグロティスが遅れて4名となると差は一気に縮まっていく。


最終周回に入ると先行を続けていた4名に追走してきた8名が合流。その直後、宮崎が単独先行を開始し、10秒ほどまで差を広げる。しかし残り5kmを前に吸収されると、そのカウンターで林原聖真(群馬グリフィンレーシングチーム)とルーベン・アコスタ(宇都宮ブリッツェン)の2名が抜け出す。


最後の下り区間ではアコスタが林原に対してリードを広げたものの、残り500m過ぎからフィニッシュに続く登り区間で林原が追いつく。そしてフィニッシュ目前でアコスタの前に出た林原は、何度も後方を確認してからガッツポーズを繰り出す。その林原を歓喜のチームスタッフが迎えた。
林原は明治大学在学中の4年生。大学の自転車部にも所属し、Jプロツアーは群馬グリフィンで走る。この優勝でU23選手が対象となるネクストリーダージャージも獲得。金子宗平のプロリーダージャージとあわせ、群馬グリフィンが2種のリーダージャージを独占することになった。

林原聖真コメント
「今日はチームとしては僕と金子さんで登りをしっかり踏んで厳しい展開にして、逃げが出来たら乗っていく作戦だった。でも最初の7名の逃げには誰も乗れずに後手を踏むことになってしまったが、他チームの力もあって追いつくことができた。
先頭に追いついてからはどうやって抜け出そうかと考えていた。ヴィクトワール広島のベンジャミン・ダイボール選手が何度もアタックしていて、人数を残している宇都宮ブリッツェンがチェックに動いているのを見て、そのカウンターを狙っていたところ、ルーベン選手と抜け出せた。
下りのペースはルーベン選手がとても速かったのでついて行けず、無理をすれば落車しそうだったので安全に下ることを選択した。残り250mあたりで追いついたが、ルーベン選手がどのくらい脚を残しているのか分からなかったので、追いつかなかったらそれまでだし、抜ければラッキーくらいに思っていた。

Jプロツアーの中でも南魚沼のコースは得意な方なので、勝てたレースにビックタイトルが付いてきたという感じ。先週のインカレロードは、あまり得意ではない群馬CSCのコースだったことと、調子も良くなかったので勝てなかったが、その分を取り返せたと思う。
ネクストリーダージャージはレースに勝てなくてもここで獲りたいと考えていた。金子選手がプロリーダージャージを着てるのを見て、自分もリーダージャージを獲ってチームで独占したいとずっと思っていたので、とても嬉しい。
最終戦はホームレースの群馬CSCになるので、金子選手やチームメイトと共に攻めた走りをしてもう1勝を狙いたい」
団体戦は宇都宮ブリッツェンが13年ぶり優勝

団体成績は、2位アコスタ、4位武山晃輔、5位谷順成と、5位以内に3名を入れた宇都宮ブリッツェンが優勝。13年ぶりに輪翔旗を宇都宮に持ち帰った。
経済産業大臣旗ロードチャンピオンシップ/南魚沼ロードレース 結果(144km)
1位 | 林原 聖真(群馬グリフィンレーシングチーム) | 3時間41分39秒 |
2位 | アコスタ・ルーベン(宇都宮ブリッツェン) | +2秒 |
3位 | 孫崎 大樹(ヴィクトワール広島) | +7秒 |
4位 | 武山 晃輔(宇都宮ブリッツェン) | +9秒 |
5位 | 谷 順成(宇都宮ブリッツェン) | +11秒 |
6位 | ベンジャミン・ダイボール(ヴィクトワール広島) | *13秒 |
団体成績 | ||
1位 | 宇都宮ブリッツェン | 11p |
2位 | ヴィクトワール広島 | 19p |
3位 | キナンレーシングチーム | 33p |
4位 | 群馬グリフィンレーシングチーム | 51p |
5位 | マトリックスパワータグ | 51p |
6位 | レバンテフジ静岡 | 78p |
中間スプリント賞 孫崎大樹(ヴィクトワール広島)
敢闘賞 宮崎泰史(KINAN Racing Team)
女子チャンピオンシップは木下友梨菜が3連覇

F(女子)3周目、登り区間で全員を振り切って独走を始める木下友梨菜(Bellmare Racing Team) photo:Satoru Kato
女子のFカテゴリーは、女子チャンピオンシップとして開催された。6周72kmのレース3周目、登り区間で木下友梨菜(Bellmare Racing Team)が他の選手を全て置き去りにして単独先行。そのままフィニッシュまで逃げ切り、2位以下に4分近い大差をつけて優勝。2023年に南魚沼でロードレース初出場初勝利を挙げて以来、女子チャンピオンシップ3連覇を達成した。

F(女子) 木下友梨菜(Bellmare Racing Team)が南魚沼大会3連覇 photo:Satoru Kato
その他結果

ユースチャンピオンシップ(Y1)優勝 天羽隼翔(北海道帯広南商業高等学校) photo:Satoru Kato

E1/E2優勝 大前翔(Roppongi Express) photo:Satoru Kato

M(マスターズ)優勝 深谷 侑司(MiNERVA-asahi) photo:Satoru Kato
text&phoro:Satoru Kato
敢闘賞 宮崎泰史(KINAN Racing Team)
女子チャンピオンシップは木下友梨菜が3連覇

女子のFカテゴリーは、女子チャンピオンシップとして開催された。6周72kmのレース3周目、登り区間で木下友梨菜(Bellmare Racing Team)が他の選手を全て置き去りにして単独先行。そのままフィニッシュまで逃げ切り、2位以下に4分近い大差をつけて優勝。2023年に南魚沼でロードレース初出場初勝利を挙げて以来、女子チャンピオンシップ3連覇を達成した。

その他結果



text&phoro:Satoru Kato
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