ジャパンカップを走った海外チームのバイクを紹介する特集記事の最終回。ラストレースとなったアンテルマルシェ・ワンティ、ジェイコ・アルウラー、新城幸也のソリューションテック・ヴィーニファンティーニ、そして初出場のチューダープロサイクリング。各チームのマシンセットに注目してほしい。



アンテルマルシェ・ワンティ:キューブ LITENING AERO C:68X

アンテルマルシェ・ワンティのキューブ LITENING AERO C:68X photo:So Isobe

ロットとの合併に伴う体制変更によって、2013年から続いた現体制としての最終レースとなったアンテルマルシェ・ワンティ。2023年大会をルイ・コスタ(ポルトガル)が制した際はキューブの軽量モデル「LITENING AIR C:68X」を使用していたが、今年は多くのメンバーがエアロモデルの「LITENING AERO C:68X」を使用していた。

シマノのグローバルサポートチームだけあって、コンポーネントはDURA-ACEのフルセット。キューブ傘下のニューメン製ホイール「STREEM」シリーズを使い、年明けからプロトタイプを実戦投入し、春に正式発表となったハッチンソンの新型タイヤBLACKBIRD RACEを組み合わせる。バルブをリム内側に隠す「STREEM AERO VALVE」のおかげでルックスもスマートな仕上がりだ。

キューブ傘下のニューメン製ホイール「STREEM」シリーズをセット photo:So Isobe

バルブをリム内側に隠す「STREEM AERO VALVE」 photo:So Isobe
非常に薄く作られたステム一体型ハンドル photo:So Isobe



ハンドルはステム部分が非常に薄いキューブのオリジナルモデル。サドルはNAGO R4 PASなどプロロゴの各種モデルを使用していた。



ジェイコ・アルウラー:ジャイアント PROPEL ADVANCED SL

マイケル・マシューズ(オーストラリア、ジェイコ・アルウラー)のジャイアント PROPEL ADVANCED SL photo:So Isobe

カデックスのAERO INTEGRATEDハンドルバー。マシューズはステム140mm/幅380mmモデル photo:So Isobe
AERO INTEGRATEDハンドルバーは-10°のみの設定。マシューズのハンドルはそれよりも明らかに深く供給専用品かプロトタイプ photo:So Isobe



連続出場を決めたジェイコ・アルウラーからは、絶対的エースを担うマイケル・マシューズ(オーストラリア)とマウロ・シュミット(スイス)のバイクを取り上げる。どちらもマシンはジャイアントのエアロマシンであるPROPEL ADVANCED SLで、シュミットはスイスチャンピオンの証であるスペシャルカラーモデルを駆った。

MAAPとのコラボレーションによる、パープルグラデーションとシルバーの目を惹くフレームに組み合わせるコンポーネントは、シマノDURA-ACE。ホイールやタイヤ、ハンドル、サドルなどは全てジャイアントのハイブランドであるカデックスでまとめられ、バイク全体の統一感は非常に高い。ホイールは50mmハイトの「50 Ultra」で、軽量なMax 40を履いている選手は今回見当たらず。同ホイールと組み合わせてエアロ性能を高めるCADEX AERO COTTONタイヤ(30c)を全メンバーが使用していた。

オーバーファストの超軽量カーボンスルーアクスル。マシューズだけの特別仕様だ photo:So Isobe
レースタグを留めるのはチューブではなくソックス photo:So Isobe


マウロ・シュミットのスイスチャンピオンカラー photo:So Isobe

なお、マシューズのバイクにはオーバーファストの超軽量カーボンスルーアクスルが採用されているほか、シュミットのバイクにはcSixxのエアロチェーンリングをセット。また、フロントフォークに取り付けるレースタグは古チューブで留めるのが一般的だが、ジェイコはソックスを輪切りにしたものを使っていた。



ソリューションテック・ヴィーニファンティーニ:パルドゥス ROBIN EVO、SPARK EVO

新城幸也(ソリューションテック・ヴィーニファンティーニ)のパルドゥス SPARK EVO photo:So Isobe

新城幸也が加入し、そのリーダーシップによって好成績を挙げたソリューションテック・ヴィーニファンティーニ。バイクは中国ブランドのPARDUS(パルドゥス)で、「トスカーナ・ファクトリーチーム」のロゴが入る軽量モデルのROBIN EVOとエアロモデルのSPARK EVOを使い分ける。足元は同じく中国ブランドのエリートホイールだ。

ホイールはエリート。波型リムのモデルも使用されていた photo:So Isobe

タイヤはシュワルベのPRO ONE(28mm) photo:So Isobe
トスカーナ・ファクトリーチームのロゴが入る photo:So Isobe



コンポーネントはシマノのSURA-ACEもしくはULTEGRAで、FSAのK-FORCE POWERBOXクランクセットを組み合わせる。タイヤは青いケーシングが目立つシュワルベのPRO ONE(28mm)で、サドルはセライタリア。新城はSLR BOOST キットカルボニオを使用している。チームは何台か日本でバイクを売却して帰国したという。



チューダープロサイクリング:BMC Teammachine R 01

チューダープロサイクリングのBMC Teammachine R 01 photo:So Isobe

ジャパンカップ初出場を遂げたチューダープロサイクリングは、BMCのエアロモデルであるBMC Teammachine R 01で統一。エアロ性能を重視するチームだけあって、ツール・ド・フランスの山岳ステージで投入された新型のTeammachine SLRは今回持ち込まれなかった。

コンポーネントはスラム RED AXSのフルセット。54/41といったビッグチェーンリングの採用率が高く、ほとんどの選手が380mm幅のハンドル、かつレバーを内側に倒したセッティングとチームの意向が見て取れる。ホイールはDTスイスのARC1100で、シュワルベのPRO ONE(28mm)をセット。サドルはセライタリア、コンピューターはワフーのELEMNT BOLT 3。

各選手ともハンドル幅は狭く、レバーを内側に倒したエアロセッティング photo:So Isobe

チェーリングは54T/41Tが基本 photo:So Isobe
紛失防止のためのステッカー photo:So Isobe



なお、紛失しやすいスラムのバッテリーや、シートポストの位置合わせには目印としてチューダーロゴの小さなシールを貼り付けていた。これはホビーユーザーでも簡単に真似できそうなので、ぜひ参考にしてみては?

text&photo:So Isobe