カーボンコンポジット産業の中心地アモイで2020年に誕生したスコムが投入する最高峰ホイール「SCOM ULTRA」シリーズ。モータースポーツで培った知見をサイクリング用に昇華させたフラッグシップホイールをテストした。



SCOM ULTRA 40/40

タイムやチネリ、FSAなどを取り扱うポディウムが今夏新しくラインアップしたホイールブランドのスコム。2016年にカーボンコンポジット産業が盛んな中国・アモイで創業したメーカーから、自転車用ホイールブランドとして2020年に誕生した新進気鋭だ。

若いブランドながらUCIコンチネンタルチームなどにも供給を行っており、過酷なレース環境でも使用されているブランドに成長。レーススペックのホイール開発を実現する技術力は、元々風力発電用のブレードやモータースポーツ用カーボンホイールの製造で培ったものがベースとされている。それを自転車用に昇華しているのがスコムと言うブランドだ。

内幅23mmというワイドな設計が採用されている

ULTRAはスコムのフラッグシップモデル

スコムのフラッグシップモデルに位置付けられるのはSCOM ULTRAシリーズ。レーススペックのホイールとして剛性、強度、軽量性、信頼性を徹底的に追求したモデルだ。さらにエアロダイナミクスも重視しており、ワイドなリムやエアロブレードのカーボンスポークが性能を向上させている。

SCOM ULTRAシリーズは、40mm、50mm、62mmという3種類のリムハイトがラインアップされており、それぞれの前後セットと、50/62mmのペアがラインアップされている。重量は40mmモデルで1320g、50mmで1385g、62mmで1500g、50/62mmで1445gだ。

エアロブレード形状のカーボンスポークが採用された

セラミックベアリングが備えられている

リムはいずれも外幅30mm、内幅23mmの設計で、現在主流となっているワイドタイヤとの相性を重視。フックドリムの最大耐圧311psi(21.4気圧)という数値をマークしており、水圧試験機で高圧への耐性をテストしたという。

独自ハブに搭載されるベアリングはセラミック製。カーボンスポークは前輪21Hの2:1組(ディスク側×2)で、後輪24Hの2:1組(ドライブ側×2)というスポークパターンを採用する。フリーハブはシマノ11速対応で、スラムのXDRハブも選択可能だ。価格は198,000円(税込)。

アンダー20万円という価格に設定されたフラッグシップモデルの実力をシクロワイアード編集部の高木三千成がテスト。オールラウンドに使いこなせる40mmハイトを試す。



ーインプレッション

「軽さと反応性、コントロール性に優れたホイールでした」高木三千成(シクロワイアード編集部) photo:Naoki Yasuoka

乗ってまず感じたのは、予想以上の軽快感でした。エントリーグレードのVOSO COREと比べても軽く、さらにワイドリム化の恩恵をはっきりと体感できます。このワイドリム化がコントロール性の向上に大きく寄与しており、バイクの扱いやすさが格段に向上しています。

興味深いのはワイドリムによる倒し込み角度の変化で、同じ空気圧でもコーナーでより深く倒せるようになりました。攻めたライディングでも安心感があります。これは実際に走ってみて初めて分かる特性です。

重量は1300g台とスペック上は特別軽いわけではありませんが、ローハイト化による重量配分の最適化なのか、実重量以上の軽快感を感じられます。バイクを左右に振る際の軽さは印象的で、個人的に好みでした。

VONOAのカーボンスポークが採用されている
トレンドのワイドなリムが採用されている



スポークテンションの感じが絶妙で、踏み込んだ時の反応性がいいです。ダッシュやアタックでのレスポンスもしっかりしており、レーシーな印象がありました。各社のフラッグシップホイールと比較すると反応性は若干マイルドに感じられました。最高峰グレードと近年成熟度が増すセカンドグレードの中間に位置していて、万人が使いこなせるホイールという印象があります。

加速性能については、ワイドリムらしい転がりの良さを実感できました。ワイドタイヤと組み合わせることで路面をしっかりと捉えている感があって、それが加速感の良さにつながっています。ペダリングに関しては、トルク型のペダリングでも高ケイデンスでも、どちらでも加速感は良好です。ペダリングに対するキャパシティが広いのも魅力の一つではないでしょうか。

中速域でスピードの伸びが頭打ちになることはなく、気持ちよく高速域まで加速してくれます。JBCFのエリートツアーに出場している選手やカーボンスポークを試してみたいという方におすすめです。カーボンスポークを体験できて、乗り心地と軽快感のバランスが良い。価格も含めて考えると、かなり魅力的な選択肢ではないでしょうか。

「コーナリングやダンシングなどで扱いやすさが際立つ」高木三千成(シクロワイアード編集部) photo:Naoki Yasuoka

SCOM ULTRA 40/40
リムハイト:40mm/40mm(前/後)
リム外幅:30mm
リム内幅:23mm
重量:1320g
ベアリング:セラミック
フリーハブ:シマノ 11速、XDR
スポーク素材:カーボン
スポークパターン:前21H、後24H
カラー:ホワイト、ブラック
価格:198,000円(税込)

SCOM ULTRA 50/50
リムハイト:50mm/50mm(前/後)
リム外幅:30mm
リム内幅:23mm
重量:1385g
ベアリング:セラミック
フリーハブ:シマノ 11速、XDR
スポーク素材:カーボン
スポークパターン:前21H、後24H
カラー:ホワイト、ブラック
価格:198,000円(税込)

SCOM ULTRA 62/62
リムハイト:62mm/62mm(前/後)
リム外幅:30mm
リム内幅:23mm
重量:1500g
ベアリング:セラミック
フリーハブ:シマノ 11速、XDR
スポーク素材:カーボン
スポークパターン:前21H、後24H
カラー:ホワイト、ブラック
価格:198,000円(税込)

SCOM ULTRA 50/62
リムハイト:50mm/62mm(前/後)
リム外幅:30mm
リム内幅:23mm
重量:1445g
ベアリング:セラミック
フリーハブ:シマノ 11速、XDR
スポーク素材:カーボン
スポークパターン:前21H、後24H
カラー:ホワイト、ブラック
価格:198,000円(税込)

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