初めてのグラベルレースに選手たちはどんなバイクで挑んだのか? 日本初開催のグラベルレース「グラベルクラシックやくらい」を走った選手たちのバイクとセッティング、ノウハウに迫った第2弾。どのバイクにもグラベルを走るためのアイデアやこだわりが詰まっている。
エリート男子の上位入賞者たちのバイクは こちら。
山本和弘 キャノンデールSuperX

山本和弘 キャノンデールSuperX photo:Makoto AYANO
グラベルクラシックやくらいのメインスポンサーであり、イベントの顔的存在の「カズさん」こと山本和弘さん。キャノンデール・ジャパンから新体制のインターテックに所属が変わってもキャノンデール愛は変わらず、もちろんレース部門のタイトルスポンサーにもなったキャノンデールSuperXを駆る。

リア三角がしなって快適な乗り心地だという photo:Makoto AYANO

コンポはスラムFORCE XPLR photo:Makoto AYANO 
強化ケーシングのパナレーサー GRAVELKING X1+ photo:Makoto AYANO
「自分の理想のバイクに仕立てました」という愛車はエアログラベルレーサーのSuperXをスラム Force XPLRで組み上げたワンバイ仕様。ホイールはZIPP303XPLRに、もうひとつの大会メインスポンサーであるパナレーサーのGRAVELKING X1タイヤを組み合わせる。ケーシングはノーマルで、太さは45C。このセッティングはレース公式試走動画で参加選手におすすめアドバイスしたとおりのものになっている。

MOMO Designのモノコックハンドルを使用する photo:Makoto AYANO

グラベルの登りをこなす山本和弘 photo:Makoto AYANO
三船雅彦 ギザロ プロトタイプ

三船雅彦 ギザロ プロトタイプ photo:Makoto AYANO
ブルベ&ロングライドのレジェンドとして活躍する三船雅彦さんは、直前に出場した長距離ブルベのロンドン〜エディンバラ〜ロンドンから帰国してすぐのやくらいグラベル参戦となった。終盤に台風が直撃したことで約1,500kmのブルベは中止に。その不満からか、京都から宮城まで3日間でこのバイクで自走移動してからのレース参戦となった。

京都から自走で宮城、そしてレースを走った三船雅彦さん photo:Makoto AYANO
三船さんが駆るのは名古屋の自転車総合卸会社フカヤのオリジナルバイク、ギザロ(GHISALLO)のロゴが入るバイクだ。三船さんがアドバイザーとして開発に協力するギザロにはエンデュランスロードのGE-110があるが、このバイクはGE-110に非常に似ているものの、各部のつくりが違うプロトタイプ。

コンポはカンパニョーロEKAR 13スピード photo:Makoto AYANO
「製品詳細はまだ明かせないんです」と三船さん。だがタイヤはシュワルベのG ONE Allroundの40Cを使っていることからグラベルモデルだと思われる。ステムにはデダのSUPERBOXを用いてケーブルをヘッドチューブへ内蔵している。コンポはカンパニョーロのグラベルコンポ EKARで、フロントシングルのメカニカル13スピード。ホイールもカンパのグラベルホイール LEVANTEを組み合わせている。

タイヤはシュワルベのG ONE Allroundの40C photo:Makoto AYANO 
ハンドルはデダのロードバーを使う photo:Makoto AYANO
エイジグループ50歳以上での表彰台を逃した三船さんだが、「ウォームアップが足りなかった」とのことだ。ちなみに三船さんの住む京都府城陽市から宮城県加美町までは820kmほどある。自走でのウォームアップとは(笑)。
別府史之 オルベアTERRA

別府史之 オルベアTERRA photo:Makoto AYANO
グラベルクラシックやくらいの大会アンバサダーにして来年のUCIレース化に向けての調整役としてフランスから来日したフミこと別府史之さん。オルベアのアンバサダーをつとめるだけに持参したバイクはオルベアの新型グラベルバイク、TERRA(テラ)だ。

ダウンチューブが大容量のストレージになっている photo:Makoto AYANO

コンポはスラムRIVAL XPLR photo:Makoto AYANO 
タイヤはヴィットリアTERRENO T30 photo:Makoto AYANO
TERRAシリーズにはレースに特化したTERRA RACEもあるが、今回はあえてアドベンチャーモデルのTERRAを持ちこみ、2周のレースの前半だけ集団を先導して走った。

大会アンバサダーの別府史之さんも走る photo:Makoto AYANO
筧五郎 トレックCheckmate SLR

筧五郎 トレックCheckmate SLR photo:Makoto AYANO
激戦区の男子50歳〜の部で優勝した筧五郎さんが駆るのはトレックの最高峰グラベルモデル、Checkmate SLRだ。ロードバイク同様の超軽量フレームはグラベルレースジオメトリーで設計され、シート部に振動吸収システムのIsoSpeedを搭載。シートポストがしなることで快適な乗り心地を生み出す。

XTRのリアメカと9-45TスプロケットをロードSTIで無線駆動する photo:Makoto AYANO
フレームから組み上げたバイクはXTRのリアメカと9-45Tスプロケット、アルテグラのSTIレバーによりフロントシングルながら無線Di2化されている。タイヤはパナレーサーのGRAVELKING X1で、軽量なRケーシングの太さ45Cをセット。

パナレーサーのGRAVELKING X1 R 太さは45Cだ photo:Makoto AYANO 
ソックスには56 photo:Makoto AYANO

男子エイジ50歳以上優勝の筧五郎(チーム・サイクルスポーツ) photo:Makoto AYANO
増田謙一 ジャイアントTCX

増田謙一 ジャイアントTCX photo:Makoto AYANO
ロード、シクロクロス、MTBとマスターズレースで数々の栄冠を勝ち取ってきた増田謙一さん(SHIDO)もやくらいを手始めにグラベルレース参戦をスタート。しかも還暦ライダーながら年代別クラスではなくエリートクラスでの出場で、2周・100kmフルコースを走った。

11Sスプロケットの11-40Tでギアレシオを確保 photo:Makoto AYANO 
パナレーサーGRAVELKING + フロントに45Cをセット photo:Makoto AYANO
まずは手持ちのシクロクロスバイク、ジャイアントTCXをグラベル仕様にカスタマイズして挑んだ増田さん。バイクは11S仕様だがギア比をよりワイドにするためディレイラーをGRXに交換、フロント40Tにリア11-40Tのワイドスプロケットを導入。タイヤはクリアランスに余裕があるフロントに45Cを、リアに40CのパナレーサーGRAVELKING X1+を履いた。

Fチェンリングはウルフトゥースの楕円形状の40T photo:Makoto AYANO 
手作りのプロフィールマップ photo:Makoto AYANO
シクロクロスでは付けないボトルケージもダブル仕様にして、背中にハイドレーションバッグを併用することで十分な補水量を確保した。手作りのプロフィールマップも流石だ。

エリートクラス100kmを走った増田謙一(SHIDO) photo:Makoto AYANO
結果は41名出走中31位のブービー賞だったが、エリートクラスでの完走を果たす。
このバイクで初めてのグラベルレースを走ってみての感想は「シクロクロスベースの車体はホイールベースが短く、BBハイトも高く、フレームも硬くて、ガレた路面でうまく進みませんでした。嫌になったけど最後まで諦めずに踏み続けたことが完走に繋がったのだと思います」とのこと。しかしグラベル初レースですっかり魅力にハマったそうで、グラベルバイクの導入を早急に考えるとのこと。
シクロクロスバイクをカスタマイズして参加した選手が多く参加した今大会だが、増田さんに似た意見は多く聞かれた。やはりグラベルライドにはグラベル向けに設計されたグラベルバイクがふさわしいということなのだろう。
text&photo:Makoto AYANO
エリート男子の上位入賞者たちのバイクは こちら。
山本和弘 キャノンデールSuperX

グラベルクラシックやくらいのメインスポンサーであり、イベントの顔的存在の「カズさん」こと山本和弘さん。キャノンデール・ジャパンから新体制のインターテックに所属が変わってもキャノンデール愛は変わらず、もちろんレース部門のタイトルスポンサーにもなったキャノンデールSuperXを駆る。



「自分の理想のバイクに仕立てました」という愛車はエアログラベルレーサーのSuperXをスラム Force XPLRで組み上げたワンバイ仕様。ホイールはZIPP303XPLRに、もうひとつの大会メインスポンサーであるパナレーサーのGRAVELKING X1タイヤを組み合わせる。ケーシングはノーマルで、太さは45C。このセッティングはレース公式試走動画で参加選手におすすめアドバイスしたとおりのものになっている。


三船雅彦 ギザロ プロトタイプ

ブルベ&ロングライドのレジェンドとして活躍する三船雅彦さんは、直前に出場した長距離ブルベのロンドン〜エディンバラ〜ロンドンから帰国してすぐのやくらいグラベル参戦となった。終盤に台風が直撃したことで約1,500kmのブルベは中止に。その不満からか、京都から宮城まで3日間でこのバイクで自走移動してからのレース参戦となった。

三船さんが駆るのは名古屋の自転車総合卸会社フカヤのオリジナルバイク、ギザロ(GHISALLO)のロゴが入るバイクだ。三船さんがアドバイザーとして開発に協力するギザロにはエンデュランスロードのGE-110があるが、このバイクはGE-110に非常に似ているものの、各部のつくりが違うプロトタイプ。

「製品詳細はまだ明かせないんです」と三船さん。だがタイヤはシュワルベのG ONE Allroundの40Cを使っていることからグラベルモデルだと思われる。ステムにはデダのSUPERBOXを用いてケーブルをヘッドチューブへ内蔵している。コンポはカンパニョーロのグラベルコンポ EKARで、フロントシングルのメカニカル13スピード。ホイールもカンパのグラベルホイール LEVANTEを組み合わせている。


エイジグループ50歳以上での表彰台を逃した三船さんだが、「ウォームアップが足りなかった」とのことだ。ちなみに三船さんの住む京都府城陽市から宮城県加美町までは820kmほどある。自走でのウォームアップとは(笑)。
別府史之 オルベアTERRA

グラベルクラシックやくらいの大会アンバサダーにして来年のUCIレース化に向けての調整役としてフランスから来日したフミこと別府史之さん。オルベアのアンバサダーをつとめるだけに持参したバイクはオルベアの新型グラベルバイク、TERRA(テラ)だ。



TERRAシリーズにはレースに特化したTERRA RACEもあるが、今回はあえてアドベンチャーモデルのTERRAを持ちこみ、2周のレースの前半だけ集団を先導して走った。

筧五郎 トレックCheckmate SLR

激戦区の男子50歳〜の部で優勝した筧五郎さんが駆るのはトレックの最高峰グラベルモデル、Checkmate SLRだ。ロードバイク同様の超軽量フレームはグラベルレースジオメトリーで設計され、シート部に振動吸収システムのIsoSpeedを搭載。シートポストがしなることで快適な乗り心地を生み出す。

フレームから組み上げたバイクはXTRのリアメカと9-45Tスプロケット、アルテグラのSTIレバーによりフロントシングルながら無線Di2化されている。タイヤはパナレーサーのGRAVELKING X1で、軽量なRケーシングの太さ45Cをセット。



増田謙一 ジャイアントTCX

ロード、シクロクロス、MTBとマスターズレースで数々の栄冠を勝ち取ってきた増田謙一さん(SHIDO)もやくらいを手始めにグラベルレース参戦をスタート。しかも還暦ライダーながら年代別クラスではなくエリートクラスでの出場で、2周・100kmフルコースを走った。


まずは手持ちのシクロクロスバイク、ジャイアントTCXをグラベル仕様にカスタマイズして挑んだ増田さん。バイクは11S仕様だがギア比をよりワイドにするためディレイラーをGRXに交換、フロント40Tにリア11-40Tのワイドスプロケットを導入。タイヤはクリアランスに余裕があるフロントに45Cを、リアに40CのパナレーサーGRAVELKING X1+を履いた。


シクロクロスでは付けないボトルケージもダブル仕様にして、背中にハイドレーションバッグを併用することで十分な補水量を確保した。手作りのプロフィールマップも流石だ。

結果は41名出走中31位のブービー賞だったが、エリートクラスでの完走を果たす。
このバイクで初めてのグラベルレースを走ってみての感想は「シクロクロスベースの車体はホイールベースが短く、BBハイトも高く、フレームも硬くて、ガレた路面でうまく進みませんでした。嫌になったけど最後まで諦めずに踏み続けたことが完走に繋がったのだと思います」とのこと。しかしグラベル初レースですっかり魅力にハマったそうで、グラベルバイクの導入を早急に考えるとのこと。
シクロクロスバイクをカスタマイズして参加した選手が多く参加した今大会だが、増田さんに似た意見は多く聞かれた。やはりグラベルライドにはグラベル向けに設計されたグラベルバイクがふさわしいということなのだろう。
text&photo:Makoto AYANO
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