主力の不振や離脱が重なり、2025年シーズンの勝利数はわずか4つにとどまるピクニック・ポストNL。チームは巻き返しに向け、ジェームス・ノックス(イギリス、スーダル・クイックステップ)と下部チームから昇格したオリバー・ピースら3名の加入を発表した。



ジロ・デ・イタリアでステージ勝利を飾ったカスペル・ファンウーデン(オランダ、ピクニック・ポストNL) photo:CorVos

2024年はシーズン22勝と、ここ10年で最多の勝利数を記録したピクニック・ポストNL。一方で今季は、ジロ・デ・イタリアでカスペル・ファンウーデン(オランダ)が区間優勝を挙げたものの、合計4勝にとどまっている。

その背景には、昨年6勝でチーム最多勝だった若手スプリンターのトビアスルンド・アンドレースン(デンマーク)が表彰台には上がるものの勝ち切れないレースが続いたこと、ファンウーデンもジロの1勝止まりだったことがある。また、昨年のブエルタ・ア・エスパーニャで区間優勝したパヴェル・ビットネル(チェコ)は今季いまだ未勝利。将来の総合エース候補マックス・プール(イギリス)は伝染性単核球症の影響でブエルタの出場を断念した。

そして勝ち星停滞の最大要因は、エーススプリンターのファビオ・ヤコブセン(オランダ)の戦線離脱が長引いたことだ。2020年の大怪我から復帰後、2022年にはツール・ド・フランス区間優勝やヨーロッパ選手権制覇を達成。2024年に母国のチームへ移籍したが、同年は1勝のみ。今季は4月に不調の要因が腸骨動脈の血流障害と判明し、8月に実戦復帰を果たしているものの、いまだ未勝利だ。

腸骨動脈の血流障害が明らかとなったファビオ・ヤコブセン(オランダ) photo:Team Picnic PostNL

スーダル・クイックステップを離れ、加入するジェームス・ノックス(イギリス) photo:CorVos

来年の巻き返しを目指すチームだが、選手の出入りも逆風となっている。ロマン・バルデ(フランス)が6月に引退し、アンドレースンはデカトロンAG2Rラモンディアールへ移籍。ケヴィン・ヴェルマーク(アメリカ)もUAEチームエミレーツXRGへと去り、将来性ある若手の流出が続いている。

こうした状況を踏まえ、チームは29歳のジェームス・ノックス(イギリス、スーダル・クイックステップ)を1年契約で獲得した。2018年に同チームでプロデビューしたクライマーはここまでプロ未勝利ながら、グランツール出場は通算9回と経験値は高い。さらに、現在トレーニーとしてチームで走るディロン・コーカリー(アイルランド、サンミシェル・プレフェンスホーム・オベール93WE)と、下部組織からのオリバー・ピース(イギリス)がトップチームへ昇格する。

ワールドチームランキングでは現状17位で降格圏は外れているピクニック・ポストNL。それでも勝利数の少なさは深刻で、新戦力の合流を機にスプリント体制の再構築など勝ち星の上積みが求められる。

text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos