モナコを舞台にしたブエルタ・ア・エスパーニャは9.4kmの個人タイムトライアルで開幕した。ヘイターのタイムを僅か0.09秒上回ったタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツXRG)が勝利し、早くもマイヨロホに袖を通した。



第1ステージ 8月22日(土)
モナコ〜モナコ 9.4km(個人タイムトライアル)


カジノ・ド・モンテカルロから走り出したブリュノ・アルミライユ(フランス、ヴィスマ・リースアバイク) photo:CorVos

第1ステージ モナコ〜モナコ image:A.S.O.

5月にジロ・デ・イタリア、7月にツール・ド・フランスが行なわれ、2026年を締めくくるグランツール、ブエルタ・ア・エスパーニャが8月22日に開幕した。第81回大会のグランデパールの舞台に選ばれたのは、フランス南東部の地中海沿岸に位置する小国モナコ公国。これで3大ツール全ての開幕地となった史上初の地で実施されたのは、僅か9.4kmの個人タイムトライアルだ。

コースはフラットながら、F1のモナコGPでお馴染みのフェアモント・ヘアピンやルイ2世大通りのトンネルなど、約20ものコーナーが連続するテクニカルなレイアウト。ストレートが短いため重量級のTTスペシャリストではなく、タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツXRG)など短い距離での加速力があり、バイクハンドリングにも長けた選手たちが上位に食い込むコースといえる。

出場する184名のうち、カジノ・ド・モンテカルロの入口から最初に走り出したのは、これがグランツールデビューとなる24歳のディエゴ・ウリアルテ(スペイン、エキポ・ケルンファルマ)だった。そして序盤スタート組で好タイムをマークしたのは、2度目のブエルタを走るジョルダン・ラブロース(フランス、デカトロンCMA CGM)の11分20秒。過去3度フランスTT王者に輝き、この日の優勝候補の1人であったブリュノ・アルミライユ(ヴィスマ・リースアバイク)はメカトラで勝利を逃すなか、ラブロースのタイムをチームメイトのサンデル・デペステル(ベルギー)が5秒上回り、さらに21歳の注目スプリンター、マシュー・ブレナン(イギリス、ヴィスマ・リースアバイク)が11分13秒の最速タイムを叩き出した。

第1出走者となったディエゴ・ウリアルテ(スペイン、エキポ・ケルンファルマ) photo:A.S.O.
沿岸を走るジュリアン・ベルナール(フランス、リドル・トレック) photo:CorVos


F1のモナコGPでもお馴染みのコーナー photo:CorVos

その後も次々にトップタイムは更新されていき、後半にペースを上げたカラム・ソーンリー(イギリス、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ)が11分2秒でホットシートに座る。スコットランド出身で今年育成チームから昇格した23歳にとって、これがグランツールのデビューレース。そんな大舞台で好タイムをマークしたソーンリーが、その後の選手たちの走りをTVで見守るなか、同じイギリス出身のジョシュア・ターリング(イギリス、ネットカンパニー・イネオス)がスタート台に上がると、観客を含めた緊張感が一段高まった。

それは8日前のヴォルタ・ア・ポルトガル・エン・ビシクレタ(UCI2.1)第8ステージで、19歳の弟フィンレー・ターリング(NSNディベロップメントチーム)が車と衝突して命を落としたから。ターリングは5.6km地点に設定された中間計測地点をトップタイムで通過する。そして平均速度51.2km/hのスピードを発揮した2023年のヨーロッパTT王者は、ソーンリーのタイムを1秒更新し、暫定トップに立った。

区間3位だったマークしたジョシュア・ターリング(イギリス、ネットカンパニー・イネオス) photo:CorVos

僅差でポガチャルに敗れたイーサン・ヘイター(イギリス、スーダル・クイックステップ) photo:CorVos

区間8位と振るわなかったワウト・ファンアールト(ベルギー、ヴィスマ・リースアバイク) photo:CorVos

しかしそのすぐ後にフィニッシュしたイギリスのTT王者であるイーサン・ヘイター(スーダル・クイックステップ)が4秒上回る10分57秒でフィニッシュ。この時点でトップ3をイギリス人選手が占めるなか、マッズ・ピーダスン(デンマーク、リドル・トレック)やワウト・ファンアールト(ベルギー、ヴィスマ・リースアバイク)が走り出す。だがいずれもヘイターのトップタイムを更新することはなく、いよいよこの日の本命で、モナコに居を構えるポガチャルが走り出した。

ポガチャルは中間計測地点をヘイターから2.2秒遅れで通過する。しかしその遅れを聞き、そこから「リスクを冒さない範囲で全力を尽くした」とレース後に語ったポガチャルは猛チャージを掛ける。最終コーナーではダンシングで加速し、スロベニアの旗が振られる最終ストレートも全力で踏み込み、ヘイターの最速タイムを0.09秒上回った。

後半に追い上げ、ステージ優勝を果たしたタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツXRG) photo:CorVos

最終出走者となったプリモシュ・ログリッチ(スロベニア、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ) photo:CorVos

最後に過去4度総合優勝しているプリモシュ・ログリッチ(スロベニア、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ)が走り出し、ポガチャルから22秒遅れのステージ24位でフィニッシュ。この瞬間、ポガチャルの区間優勝が確定。意外にもこれが自身初のグランツール開幕ステージでの勝利、そして総合首位となった。

2019年以来7年ぶりのブエルタで、自身初となる赤色のマイヨロホに袖を通したポガチャル。「これほど僅かな差で開幕TTを勝つというのは不思議な感覚だ。勝てるとは思っていなかったが、それに、この赤色は本当にいい色だね。あの0.09秒は自宅マンションの前を通過した時に稼いだんじゃないかな(笑)。あそこがコースで最もテクニカルな区間で、毎日歩いたり、自転車で走ったりしている場所なんだ。もちろんレースではまったく違うけれど、この道を本当によく知っていたことが今日は大きな助けになった」と、僅差で掴んだブエルタ通算4勝目について語った。

初日にマイヨロホを着用したタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツXRG) photo:A.S.O.

マイヨブランコを着用したジョシュア・ターリング(イギリス、ネットカンパニー・イネオス) photo:A.S.O.

また、区間3位に入ったターリングについて「スタート地点に向かっている時、ジョシュ(ターリング)がトップタイムを出しているのを見た。今日は本当に彼に勝ってほしかったし、応援していた。その後、中間計測地点を通過した瞬間、別の名前が聞こえてきて、イーサン・ヘイターが僕より3秒速いと分かった。だからリスクを冒さない範囲で全力を尽くした。ジョシュにはこのブエルタでぜひ良い走りをしてほしいと思っている」とエールを送った。
ブエルタ・ア・エスパーニャ2026第1ステージ結果
1位 タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツXRG) 10:57
2位 イーサン・ヘイター(イギリス、スーダル・クイックステップ)
3位 ジョシュア・ターリング(イギリス、ネットカンパニー・イネオス) +0:04
4位 カラム・ソーンリー(イギリス、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ) +0:05
5位 クリストフ・ラポルト(フランス、ヴィスマ・リースアバイク) +0:06
6位 レオ・ビジオー(フランス、デカトロンCMA CGM) +0:08
7位 オスカー・チェンバーレイン(オーストラリア、デカトロンCMA CGM) +0:09
8位 ワウト・ファンアールト(ベルギー、ヴィスマ・リースアバイク)
9位 フィン・フィッシャーブラック(ニュージーランド、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ) +0:10
10位 アルトゥール・クルッカース(ルクセンブルク、チューダープロサイクリング) +0:11
24位 プリモシュ・ログリッチ(スロベニア、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ) +0:22
マイヨロホ(個人総合成績)
1位 タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツXRG) 10:57
2位 イーサン・ヘイター(イギリス、スーダル・クイックステップ)
3位 ジョシュア・ターリング(イギリス、ネットカンパニー・イネオス) +0:04
4位 カラム・ソーンリー(イギリス、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ) +0:05
5位 クリストフ・ラポルト(フランス、ヴィスマ・リースアバイク) +0:06
6位 レオ・ビジオー(フランス、デカトロンCMA CGM) +0:08
7位 オスカー・チェンバーレイン(オーストラリア、デカトロンCMA CGM) +0:09
8位 ワウト・ファンアールト(ベルギー、ヴィスマ・リースアバイク)
9位 フィン・フィッシャーブラック(ニュージーランド、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ) +0:10
10位 アルトゥール・クルッカース(ルクセンブルク、チューダープロサイクリング) +0:11
マイヨプントス(ポイント賞)
1位 タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツXRG) 20pts
2位 イーサン・ヘイター(イギリス、スーダル・クイックステップ) 17pts
3位 ジョシュア・ターリング(イギリス、ネットカンパニー・イネオス) 15pts
マイヨブランコ(ヤングライダー賞)
1位 ジョシュア・ターリング(イギリス、ネットカンパニー・イネオス) 11:01
2位 カラム・ソーンリー(イギリス、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ) +0:01
3位 レオ・ビジオー(フランス、デカトロンCMA CGM) +0:04
チーム総合成績
1位 UAEチームエミレーツXRG 33:19
2位 ヴィスマ・リースアバイク +0:03
3位 デカトロンCMA CGM +0:07
text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos, A.S.O.

同じ製品カテゴリーの記事

最新ニュース(全ジャンル)