高機能・高価格化が進むサイクルコンピューター市場において、シンプルさと見やすさで勝負するのがブライトンの「Rider 550」だ。タッチ操作なし、1.5万円の低価格。派手さのないリアルな使い心地を伝えます。

ブライトン Rider 550。コストパフォーマンスを狙ったミドルグレードモデルだ photo:Naoki Yasuoka
いつしかサイクルコンピューターは高級電子機器になった。タッチパネル、フルマップナビ、見やすい大型画面に大型ボディ。どれも便利だけれど、価格は安くても5万円以上、充実機能のハイエンドモデルでは15万円に迫る製品も出てくるようになった。
20年前にスポーツバイクにのめり込み、キャットアイのスピードセンサーケーブルをどれだけ綺麗にフロントブレーキワイヤーに巻きつけてハンドルまで這わせるかという、いにしえの時代を経験している自分としては、正直、ちょっと機能が余計なんじゃないかな...とも思えていた。
そんなタイミングで、自分のサイコンが壊れた。というか、ブラケットが折れて路面落下→クルマに踏まれる(しかも海外で)という大惨事。嗚呼、ハンマーヘッドが粉々に...(涙)。で、買い替え候補を探しているとき、編集部スタッフでガジェット担当の藤原っちこと藤原君(そのまんまである!)がぽつりと言った。「やっぱ結局のところ、サイコンって画面が見えやすいかどうかなんですよね。その点、ブライトンは結構いいですよ」。
派手な機能ではなく、見やすいという基本性能は意外とないがしろにされてしまう部分。確かに、ライド中に最も重要なのはそこだ。ちょうどブライトンからはミドルモデルの「Rider 550」がリリースされたタイミングで、お値段を見たら本体1.5万円...。1.5万円。1.5万円?!?このご時世に、フルカラー液晶のGPSコンピューターが1.5万円!?これは買うしかないでしょう!と、すぐさま輸入代理店の(株)フカヤさんに連絡したのだった。

注文したRider 550がやってきた。しかもアンバサダーキット(ありがとうございます) photo:Naoki Yasuoka

保護ケースやボトル、ソックス付き。大切に使わせてもらいます photo:Naoki Yasuoka 
サイズ感もちょうど良い。物理ボタンになったことで重量も軽くなった photo:Naoki Yasuoka
で、ブツが届いた。Rider 550には「本体のみ(税込15,730円)」と「ケイデンス&心拍センサー付属セット(税込24,530円)があって、今はそこまで熱心にトレーニングしていない自分にとっては、本体のみで十分。でも、電話をかけたのがリリース直後のタイミングだったこともあって、まだフカヤに通常在庫がなく、代わりに、先行で届いていたという本体の保護ケースやブライトンのボトル&ソックスが同封されたアンバサダーキットを送ってもらうことになった。ハッピー!
物理ボタンで十分。むしろ、それがいい

操作は物理ボタンのみ。これでいいんですよ(少なくとも自分にとっては) photo:Naoki Yasuoka
さて、Rider 550は、上位モデルのRider 650と本体機能と構造はほぼ同じで、タッチパネルを物理ボタンオンリーにして、かつデフォルトマップがないという大きな違いがある。
ここ数年、サイコンはほとんどがタッチパネル式になった。だが実際のライド中、グローブ越しの操作ではストレスを感じることも多い。その点、Rider 550の物理ボタン操作はシンプルかつ確実。カチッというクリック感があって、グローブをしていても迷わず操作できる。
最初こそ少し古めかしい印象を受けるものの、一度使い慣れれば、むしろこちらの方が快適だ。そもそも筆者は「電気とか無線とかネットバンクとか目に見えないものは信用したくない。クルマはマニュアル一択。できればキャブがいい」というwebメディア失格の謎のポリシーを信条に生きているので、アナログな操作を好むタチである。こういう人、特に自転車好きには結構いるんじゃないのかなあ。
Rider 550はナビゲーション機能を持っているが、マップはなく目的地検索やナビはルートデータを事前にスマホアプリから転送しておく必要がある。しかし、使ってみると案外ストレスはない。Bryton専用アプリでルートを作成・転送でき、地図上で走行ラインを追うだけなら十分実用的。そして画面が大きくてカラーの発色もそこそこ悪くない(ちょっと青みがかっている)。自動調光機能が付いているので、日向と日陰が入り混じっている場所でも視認性は良好だ。

TFT液晶と自動調整機能で視認しやすい画面(実際は写真よりも見やすいです) photo:Naoki Yasuoka

アプリとの連携もサクサク進んでノーストレス(スマホはいにしえのiPhone8。これもホームボタンが好きで未だに使っているのだ。実際には凹んでるわけではないらしいけれど) photo:Naoki Yasuoka 
本体は16mmと薄い。エアロハンドルとの相性も良い感じ photo:Naoki Yasuoka

ナビ中の画面。デフォルトのマップ表示は無いものの、ルートをダウンロードすれば脇道程度は表示される。個人的にはこれで十分 photo:So Isobe
そもそも、サイコンだけでナビを完結させている人ってどれくらいいるだろう?スマホのマップを併用したり、ライド前にルートを頭に入れて走る人の方が多く、あくまで走るべき道と方角がわかればそれでいいという方も多いはず。さらにはルート案内中に、登坂区間頂上までの距離とプロフィールが表示されるのも現代サイコンとしてとても優秀だ。
パワーや心拍数、スピード、ケイデンス、レーダー、ライトとの連携もできて、Bryton Activeアプリではデータの蓄積はもちろん、デフォルトのルートを走ることも、ライドメンバー全員の状況をリアルタイムで確認することも可能で、さらにはSTRAVAやTrainingPeaksといったトレーニングサイトにも対応する。手厚いサポート機能を持つGarmin Connectほどではないものの、トレーニングプランのカスタマイズも可能だ。

アプリ上では点と点を結んでナビルートを設定できる。自転車に寄り添ったルートを探してくれる 
トレーニングプランも作成可能
本体1.5万円という価格に驚きがちだが、Rider 550は決して「安かろう悪かろう」なモノじゃない。機能性は十二分で、操作が単純明快。操作階層もシンプルだから、普段スマホを触っている人ならすぐに全操作を覚えられる。タッチパネルを除いたことでRider 650と比べれば6g軽く(86g)、駆動時間が4時間長い(37時間)のもいい。人と同じように、サイコンだって何かを失って何かを得るのだ。Rider 550が「得たもの」に興味を惹かれる人は少なくない、と思う。
Rider 550の詳細、Rider 650との性能比較はブライトン本国の製品ページ(日本語)を確認のこと。
ブライトン Rider 550
サイズ:84.5 x 56.8 x 16mm
ディスプレイサイズ:2.8"
ディスプレイ:Color TFT LCD
重量:86g
バッテリー:37 hrs
USBポート:USB-C
価格:15,730円(税込、本体のみ)、24,530円(税込、ケイデンス、心拍センサー付属)
text:So Isobe

いつしかサイクルコンピューターは高級電子機器になった。タッチパネル、フルマップナビ、見やすい大型画面に大型ボディ。どれも便利だけれど、価格は安くても5万円以上、充実機能のハイエンドモデルでは15万円に迫る製品も出てくるようになった。
20年前にスポーツバイクにのめり込み、キャットアイのスピードセンサーケーブルをどれだけ綺麗にフロントブレーキワイヤーに巻きつけてハンドルまで這わせるかという、いにしえの時代を経験している自分としては、正直、ちょっと機能が余計なんじゃないかな...とも思えていた。
そんなタイミングで、自分のサイコンが壊れた。というか、ブラケットが折れて路面落下→クルマに踏まれる(しかも海外で)という大惨事。嗚呼、ハンマーヘッドが粉々に...(涙)。で、買い替え候補を探しているとき、編集部スタッフでガジェット担当の藤原っちこと藤原君(そのまんまである!)がぽつりと言った。「やっぱ結局のところ、サイコンって画面が見えやすいかどうかなんですよね。その点、ブライトンは結構いいですよ」。
派手な機能ではなく、見やすいという基本性能は意外とないがしろにされてしまう部分。確かに、ライド中に最も重要なのはそこだ。ちょうどブライトンからはミドルモデルの「Rider 550」がリリースされたタイミングで、お値段を見たら本体1.5万円...。1.5万円。1.5万円?!?このご時世に、フルカラー液晶のGPSコンピューターが1.5万円!?これは買うしかないでしょう!と、すぐさま輸入代理店の(株)フカヤさんに連絡したのだった。



で、ブツが届いた。Rider 550には「本体のみ(税込15,730円)」と「ケイデンス&心拍センサー付属セット(税込24,530円)があって、今はそこまで熱心にトレーニングしていない自分にとっては、本体のみで十分。でも、電話をかけたのがリリース直後のタイミングだったこともあって、まだフカヤに通常在庫がなく、代わりに、先行で届いていたという本体の保護ケースやブライトンのボトル&ソックスが同封されたアンバサダーキットを送ってもらうことになった。ハッピー!
物理ボタンで十分。むしろ、それがいい

さて、Rider 550は、上位モデルのRider 650と本体機能と構造はほぼ同じで、タッチパネルを物理ボタンオンリーにして、かつデフォルトマップがないという大きな違いがある。
ここ数年、サイコンはほとんどがタッチパネル式になった。だが実際のライド中、グローブ越しの操作ではストレスを感じることも多い。その点、Rider 550の物理ボタン操作はシンプルかつ確実。カチッというクリック感があって、グローブをしていても迷わず操作できる。
最初こそ少し古めかしい印象を受けるものの、一度使い慣れれば、むしろこちらの方が快適だ。そもそも筆者は「電気とか無線とかネットバンクとか目に見えないものは信用したくない。クルマはマニュアル一択。できればキャブがいい」というwebメディア失格の謎のポリシーを信条に生きているので、アナログな操作を好むタチである。こういう人、特に自転車好きには結構いるんじゃないのかなあ。
Rider 550はナビゲーション機能を持っているが、マップはなく目的地検索やナビはルートデータを事前にスマホアプリから転送しておく必要がある。しかし、使ってみると案外ストレスはない。Bryton専用アプリでルートを作成・転送でき、地図上で走行ラインを追うだけなら十分実用的。そして画面が大きくてカラーの発色もそこそこ悪くない(ちょっと青みがかっている)。自動調光機能が付いているので、日向と日陰が入り混じっている場所でも視認性は良好だ。




そもそも、サイコンだけでナビを完結させている人ってどれくらいいるだろう?スマホのマップを併用したり、ライド前にルートを頭に入れて走る人の方が多く、あくまで走るべき道と方角がわかればそれでいいという方も多いはず。さらにはルート案内中に、登坂区間頂上までの距離とプロフィールが表示されるのも現代サイコンとしてとても優秀だ。
パワーや心拍数、スピード、ケイデンス、レーダー、ライトとの連携もできて、Bryton Activeアプリではデータの蓄積はもちろん、デフォルトのルートを走ることも、ライドメンバー全員の状況をリアルタイムで確認することも可能で、さらにはSTRAVAやTrainingPeaksといったトレーニングサイトにも対応する。手厚いサポート機能を持つGarmin Connectほどではないものの、トレーニングプランのカスタマイズも可能だ。


本体1.5万円という価格に驚きがちだが、Rider 550は決して「安かろう悪かろう」なモノじゃない。機能性は十二分で、操作が単純明快。操作階層もシンプルだから、普段スマホを触っている人ならすぐに全操作を覚えられる。タッチパネルを除いたことでRider 650と比べれば6g軽く(86g)、駆動時間が4時間長い(37時間)のもいい。人と同じように、サイコンだって何かを失って何かを得るのだ。Rider 550が「得たもの」に興味を惹かれる人は少なくない、と思う。
Rider 550の詳細、Rider 650との性能比較はブライトン本国の製品ページ(日本語)を確認のこと。
ブライトン Rider 550
サイズ:84.5 x 56.8 x 16mm
ディスプレイサイズ:2.8"
ディスプレイ:Color TFT LCD
重量:86g
バッテリー:37 hrs
USBポート:USB-C
価格:15,730円(税込、本体のみ)、24,530円(税込、ケイデンス、心拍センサー付属)
text:So Isobe
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